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2025年4月号
健康と病気における微生物叢の可能性を最大限に活用するためには、微生物叢研究に、ファージや真菌、さらにはヒトの腸内生態学の全体像に関する研究をもっと取り入れる必要がある。
2025年3月号
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック初期に次々と画期的な論文を発表した、東京大学医科学研究所の佐藤佳教授。この発表を支えた研究チーム「G2P-Japan」はいかに世界をリードし、社会の疑問に応え続けたのか。論文量産、チームワークなどの研究哲学とは。そして、今後は何を目指すのだろうか。
2025年2月号
共有結合は、教科書では「互いの原子が電子を1つずつ出し合い、共有する」と定義される。しかし、ライナス・ポーリングは1931年に「原子間で1つの電子を共有する1電子結合も存在し得る」と提唱し、それ以来、世界中で炭素原子間における1電子結合の実現が目指されてきた。今回、北海道大学大学院理学研究院の石垣侑祐准教授らのチームは、この約100年にわたる挑戦に終止符を打った。
2025年1月号
東京大学とシュプリンガーネイチャーが共同で開催する2025年のシンポジウムでは、ジェンダー公平性ならびにこの課題と持続可能な開発目標(SDGs)の関わりをテーマに取り上げる。
2024年12月号
ヒト細胞中のDNAは、ヒストンタンパク質の芯に何重にも巻かれたクロマチンとして存在する。転写や組換えといった反応が起こるとき、酵素はどうやってDNAに近づき、それに働き掛けるのだろうか。この仕組みの解明一筋に研究を進め、近年次々と成果を上げている、東京大学の胡桃坂仁志教授に話を聞いた。
2024年11月号
東京大学先端科学技術研究センターの西増弘志教授らは、「IS110ファミリー」の転移因子を解析し、これらがRNAを用いてDNAを組換える特殊なタイプのものであることを見いだした1,2。将来的にこのシステムを応用することで、人工的に「ターゲットDNAの塩基配列」を変更でき、一度に数万塩基対をゲノム編集できるようになるかもしれない。
2024年9月号
long COVIDに罹患した人から採取した抗体が、マウスに同様の症状を引き起こすことが研究で示された。
2024年8月号
2024年の京都賞は、メタマテリアルの理論を構築したジョン・ペンドリー氏、全球凍結やプレートテクトニクスを実証したポール・F・ホフマン氏、舞踊の技法と美学を刷新し身体表現の新たな地平を開いたウィリアム・フォーサイス氏に贈られる。
2024年8月号
約40億年前に誕生したとされる生命。繁栄に至ったカギは、光合成細菌の出現にある。海洋研究開発機構(JAMSTEC)超先鋭研究開発部門のジャクソン・マコト・ツジ博士は、未知の光合成細菌の探索と解析を進め、新規の光合成細菌を発見。今まで見落とされてきた光化学系進化の重要な知見を見いだした。一連の成果は、光合成細菌研究に新たな局面をもたらしている。
2024年8月号
ディープマインド社のAIツール「AlphaFold」の最新版は、タンパク質が他の分子と相互作用する際の構造をモデル化することができるが、このツールへのアクセスは制限されている。
2024年7月号
COVID-19に起因する認知症状の一部は、血液脳関門からの漏出と炎症が原因で引き起こされているかもしれない。
2024年7月号
long COVIDに関する主要な臨床試験の結果はまだ出ていない。そんな中、患者たちが研究を主導したり参加したりすることで、道を切り開こうとし始めた。
2024年6月号
老化の研究が面白くなってきている。細胞の老化がどのように個体の老化を引き起こすのか。長らく謎だったその仕組みが徐々に明らかになってきた。老化細胞の除去薬の開発や老化に果たす免疫の役割など、注目すべき研究成果を次々に発表してきた東京大学医科学研究所の中西真教授と金沢大学の城村由和教授(当時、中西研究室助教)に話を訊いた。
2024年5月号
血液凝固や炎症に関与するタンパク質が、long COVIDの複雑さを解明する一助になるかもしれない。
2024年5月号
スマートフォンの接触者追跡アプリが算出したCOVID-19感染リスクスコアから、後日SARS-CoV-2の検査で陽性となる確率を予測できる。こうしたアプリは将来のパンデミック対策で有用なツールとなるだろう。
2024年4月号
日本の研究コミュニティーの課題とその解決策を探るため、シュプリンガーネイチャーは、アカデミア、研究資金配分機関やメディアから有識者を招いた第2回目となる「ジャパンリサーチアドバイザリーフォーラム(JRAF)」を2023年9月28日に開催。今回は、昨年の議題であった「研究、科学コミュニケーション」と、今年から新しく加えた「AIの研究の取り組みへの影響」の2つのテーマについて議論を繰り広げた。
2024年2月号
微生物の力を生かして有用な物質を作る「スマートセル」。AIと先端的なバイオテクノロジーを組み合わせることで、産業応用のためのスマートセルの設計・開発を最適化するのが自律型バイオファウンドリーだ。今、バイオモノづくりとして注目されるスマートセルとバイオファウンドリーの研究を紹介する。
2024年2月号
ヒトを含む哺乳類には、眠りが浅く、覚醒状態に似た脳波を示すレム睡眠と、眠りが深いノンレム睡眠がある。 沖縄科学技術大学院大学(OIST)の真野智之博士、清水一道博士(当時)らの研究チームは、タコを対象に行動学・電気生理学・解剖学手法、人工知能(AI)を用いた体表模様の画像解析などを用いて、タコにも2段階からなる睡眠があり、そのうちの「動的睡眠」がレム睡眠に似ていることを突き止めた。
2023年10月号
米国や欧州は、日本よりもリアルワールドデータの利活用が進んでいるが、データの信頼性確保や最適な利用方法について、今も模索を続けている。
2023年10月号
特定の型のHLA遺伝子を持っている人は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染しても発症しにくいことが分かった。
2023年9月号
医療ビッグデータを治療や医薬品開発に役立てようとする試みは近年加速するばかりだ。デジタル後進国の日本は諸外国より遅れているが、医療DXの気運が高まる中、一歩ずつ課題を乗り越えようとしている。
2023年8月号
世界有数の大都市、東京。この地で2023年2月28日、都市と自然との間の複雑な問題を解決に導く方法、そして人と自然が共存共栄する方法を探るシンポジウム「都市、自然、持続可能な開発目標(SDGs)」が開催された。
2023年8月号
研究機関が、産業界のベストプラクティスを検討し、現代の科学は共同作業によって進められる という性質に注目すれば、職場環境を改善できるだろう。
2023年7月号
今回のNatureの指針改定は、過小評価グループに属する人々が研究によって傷つけられるという意図せぬ事態をなくすための小さな一歩です。
2023年7月号
血液細胞は、造血幹細胞が細胞分裂を繰り返すことで作られると考えられている。横溝智雅・熊本大学特任助教(現在、東京女子医科大学講師)らは、全ての血液細胞の源であるはずの造血幹細胞が、胎児でどのように発生し、造血が行われているかをマウスで詳しく調べて、驚いた。胎児の血液細胞の大部分は、造血幹細胞から作られていなかったのだ。
2023年6月号
日本政府は、トップクラスの大学を数校選んで、1年間に合計3000億円を配分する計画である。しかし、この政策手法は、マイナス面がプラス面を上回る可能性のあることが、他国の経験から示唆されている。
2023年5月号
Natureは、研究の厳密性と再現性を高めることを目的とした新しいタイプの研究論文の出版を始めました。
2023年5月号
がん細胞は、周囲の非腫瘍細胞を変化させて、血管新生や免疫回避に利用している。血液がんの一種で、悪性リンパ腫では2番目に多いとされる「濾胞性リンパ腫」について、リンパ節内の非血液細胞を単一細胞レベルで解析した坂田麻実子・筑波大学教授らは、3種類に大別されていたそれらが、合計30のサブタイプに分けられることを突き止めた。サブタイプの中には、これまで全く知られていなかった特徴を持つものや、予後を推定するバイオマーカーとして使える可能性があるものが含まれていた。
2023年4月号
研究者は、先進的なAIチャットボットの「素晴らしい新世界」に没頭しています。出版社各社は、このツールの理にかなった利用を認めた上で、乱用を避けるための明確なガイドラインを定める必要があります。
2023年4月号
DNAを含んだ溶液の化学反応を通して計算を行うDNAコンピューター。奥村周氏(当時東京大学大学院博士課程に所属)らは、機械学習で用いられるニューラルネットワークをDNAコンピューターで構築し、塩基配列や酵素を調整した大量のマイクロ液滴中で計算を実行させることでその全体像を視覚的に捉える手法を開発した。このDNAコンピューターは、がんのmiRNAに基づく診断技術にも応用できるという。
2023年3月号
生体組織の幹細胞は、自己増殖しつつ、分化した細胞を作り出すが、その機能は加齢とともに衰えていき、表皮幹細胞も例外ではない。京都大学医生物学研究所の一條遼助教と豊島文子教授らは、表皮幹細胞の加齢変容を調べる中で、表皮下の真皮が加齢に伴い硬化することを発見。表皮幹細胞がどのように真皮の硬化を感知して加齢変容するかを明らかにしたばかりか、「真皮はなぜ硬化するのか」という問いから、傷の治癒を促す手掛かりをも突き止めた。
2023年2月号
水素は、輸送から家庭用暖房に至るまで、全ての用途に使える驚異的な無炭素燃料として喧伝されている。しかし、気候変動対策としては、水素以外の燃料の方が優れていることが多い。
2023年2月号
Chuchu Huangは、マイコリーナ社(スウェーデン・イェーテボリ)の発酵科学者(2022年10月よりノボ・ノルディスク社〔デンマーク〕勤務)。
2023年2月号
学術誌の編集方針は時とともに改定され、論文著者に求められることも変化します。第1回では、Nature および複数の関連誌が2016年9月に義務付けた「データ利用可能性ステートメント」の目的と、対処方法について説明します。
2023年1月号
この特別号は、困難な状況にある「科学」という船からの「瓶入りのメッセージ」です。この瓶をどうか見つけて瓶を開け、メッセージの内容に基づいて行動してください。
2023年1月号
地域の特産品である「奈良墨」への興味から、煤(すす)の生成過程について調べ、煤生成の通説を覆す発見をした、奈良県立奈良高等学校の廉明徳さんと久米祥子さん。京都大学の学生たちとの「高大連携」プロジェクトではあるものの、研究テーマの決定から実験、論文執筆、査読付き国際誌上での発表までやり遂げた2人と、指導に当たった同校の仲野純章教諭に、研究成果と高大連携について聞いた。
2023年1月号
Damian Cohallは、西インド諸島大学ケイブヒル校 (バルバドス・ブリッジタウン)の 上級講師および前臨床・保健学部門長。
2023年1月号
SARS-CoV-2は、宿主の細胞核でDNAをパッケージングするヒストンタンパク質の1つを模倣するように進化してきたことが明らかになった。この模倣によって、遺伝子の転写が阻害されて、抗ウイルス応答が減弱する。
2022年12月号
Doreen Aneneは、ノッティンガム大学(英国)の動物科学者、STEM Belle設立者、2019年度「Nature Research Innovating Women in Science」受賞者。
2022年12月号
近年、大規模なヒトゲノム研究から、医療や創薬にとって有用な情報が得られ始めている。このような研究を進めるには、大量のヒトゲノムデータを解析する必要があり、それを可能にしているのが、遺伝統計学である。遺伝統計学とは何か、遺伝情報からどんなことが分かるのか? 日本の遺伝統計学を牽引する、岡田随象・東京大学大学院教授に話を聞いた。
2022年11月号
構造生物学で人工知能を最大限活用するには、データとソフトウエアを誰でも無料で利用できるようにすることと、計算論、理論系、実験系の研究者が緊密に連携することが必要だ。
2022年11月号
2023年ブレークスルー賞の生命科学部門は、タンパク質の三次元構造を予測する人工知能システムを開発した研究者たちをはじめ、3つの研究にそれぞれ授与されることが発表された。
2022年11月号
SARS-CoV-2に感染すると、数日間の自主隔離を要請される。各国が自主隔離期間を短縮しつつある中、発症から8日目でも感染力のあるウイルスを排出する場合があることが示された。
2022年11月号
新型コロナウイルス感染症への罹患後、各種の不可解な症状が続くことがある。一部の症状は微小な血栓によって説明できる可能性があるが、多くの研究者は、効果が証明されていない治療法に患者が飛びつくことを懸念している。
2022年10月号
現行の研究評価の実施でもたらされたゆがんだ影響に抗うため、これまでに数多くの取り組みがなされてきた。最新の取り組みは、成功しそうに思われる。
2022年10月号
新型コロナウイルス変異株の感染者は、起源株感染者よりも呼気に排出するウイルスRNA量が多く、あるオミクロン株感染者は、アルファ株やデルタ株感染者の1000倍多く排出していた。
2022年10月号
しっかりした背骨があるものの、歯がなく鰭(ひれ)もない、わずか5cmの魚。1世紀以上前から数千体の化石が発見されていたパレオスポンディルスは、奇妙な形態故に、どの脊椎動物の仲間か謎のままだった。その頭骨の化石を精密に解析した平沢達矢・東京大学大学院理学系研究科准教授らは、この魚が「魚類から陸上脊椎動物への移行段階」に位置する動物であると突き止めた。
2022年9月号
シュプリンガー・ネイチャーの編集者は被験者を要する研究に限らず、ヒト集団に関連する全ての研究において、研究により危害が及ぶ潜在的な可能性を検討するよう、論文著者に要請します。
2022年9月号
遺伝子を基にタンパク質を合成する過程において、アミノ酸を運ぶ転移RNA(tRNA)。その機能を調節する「RNAの可逆的なリン酸化」という新たな種類の修飾が、鈴木 勉・東京大学教授が率いる研究グループにより発見された。tRNAがリン酸化修飾されると、タンパク質合成の耐熱性が大きく向上することから、RNAのリン酸化修飾は、RNA医薬などへの応用も期待される。
2022年8月号
Nature および一部のNature 関連誌への投稿論文では、研究デザインにおいて性別やジェンダーをどのように考慮したか、詳しく報告いただくことになりました。
2022年8月号
2022年の京都賞は、VLSIを中心とする半導体産業の発展に貢献したミード氏、感染症モデル研究を革新したグレンフェル氏、タブラー奏者のフセイン氏に贈られる。
2022年8月号
性差に関する課題を解決し、技術革新と偏り解消を目指す国内初の研究拠点が、お茶の水女子大学に設立された。
2022年7月号
イラン人研究者は、かつてないほどの危険にさらされている。各国政府は静かな外交を促しているが、表立って行動することが必要なのだ。
2022年7月号
COP26での気候に関する各国のコミットメント(誓約)を分析した結果、そうしたコミットメントが履行されれば、2100年までの地球温暖化を2℃未満とすることができる可能性が示された。しかし、それには短期的な政策による裏付けが前提となる。
2022年7月号
SARS-CoV-2への感染前後の画像検査により、感染後の脳には明らかな変化が認められることが分かった。大規模な脳画像追跡研究には高い水準が要求されるが、この研究はその模範を示している。
2022年7月号
タンパク質の立体構造を予測する「AlphaFold(アルファフォールド)」。2021年7月の公開から早くも生物学に大変革をもたらしつつある。
2022年7月号
1世紀にわたり模索が続く、生菌を使ったがん治療。生菌製剤の免疫系回避と腫瘍部位への送達が課題である。コロンビア大学 博士課程6年に在籍する張本哲弘さんらは、このほど、菌体を包む莢膜多糖(CAP)を合成生物学の手法で自在にスイッチングする技術を開発。CAPの制御で、薬剤を兼ねる生菌をより多く腫瘍に送達できることを、生体で実証した。
2022年6月号
COVID-19重症化の原因に、手掛かりがもたらされた。新型コロナウイルスに感染した免疫細胞が炎症反応を暴走させていることが示唆されたのだ。
2022年6月号
各国で規制の解除が進んでいるが、ペースは速過ぎないか? そもそも、規制解除には早過ぎるのではないか? 研究者の間でも意見は分かれている。
2022年6月号
PlayStation®4︎の自動車レースゲーム『グランツーリスモSPORT』。新たに開発された人工知能(AI)が、このゲームの世界チャンピオンに勝利した。レースで勝つには、リアルタイムに車両を制御していく能力に加え、対戦相手に敬意を払って運転するマナーを学ぶ必要もあった。このAIの研究開発メンバーの1人、河本献太氏(株式会社ソニーAI)に話を聞いた。
2022年5月号
子どもでは、COVID-19を罹患した際にSARS-CoV-2に対する抗体が不思議なほど誘導されない。子どもは、大人よりもはるかに迅速にこのウイルスを体から排除できるのがその理由と考えられる。
2022年5月号
SARS-CoV-2に感染すると、長期にわたって心臓病と脳卒中の発症リスクが高くなることが、大規模研究の結果から示された。
2022年5月号
ニューロンの樹状突起には「スパイン」と呼ばれる出っ張り構造が多数あり、スパイン頭部は長期記憶の形成に際して増大することが知られている。この現象を見いだし、スパインの可塑性と機能について研究を続けてきた河西春郎・東京大学国際高等研究所ニューロインテリジェンス国際研究機構特任教授は、このほど、スパインの頭部増大で生じた圧力が軸索側のシナプス前部を押すことで、ニューロン間の情報伝達が行われることを突き止めた。
2022年5月号
SARS-CoV-2感染後、それがたとえ軽度であっても、糖尿病を発症しやすくなる可能性があることが大規模研究から示された。糖尿病のリスクを抱えている人は、特に要注意だ。
2022年4月号
次々に新たな課題を投げ掛けてくる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。この感染症との付き合いはこれからも続く。これは、オミクロン変異株が私たちに突き付けた現実なのだ。
2022年4月号
SARS-CoV-2のオミクロン株は、感染の拡大は非常に速いが、患者の症状は以前の株よりも軽いように見える。ウイルスの構造を調べることで、その理由が見えてきた。
2022年4月号
健康な人を新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に曝露して意図的に感染させる実験から1年、最初の論文が発表された。参加者のうち、感染したのは半数だけであり、その大半が軽症だった。
2022年4月号
百歳以上の人たちの腸内細菌を調べる研究が行われ、長生きの秘密の1つが見つかった。百寿者の腸内細菌は、肝臓の分泌物である胆汁酸を代謝して、病原体に対し強い抗菌作用を示す物質を作り出していることが明らかになったのだ。宿主は腸内細菌により、感染症から守られていたわけだ。この研究を率いた本田賢也・慶應義塾大学教授に話を聞いた。
2022年4月号
Nature は、ウクライナの研究コミュニティーと連帯し、国際的な学術的知識の交換も引き続き支援する。
2022年3月号
大洪水と待望の湖水をもたらした 「空の川」、瞬発力で空に舞い上がった巨大翼竜、信号をやりとりするブロックでできた「生きた壁」、デジタル批評家が絵画と作者をマッチング、他(2021年12月2日〜12月23/30日号)
2022年3月号
BRICS諸国は、20年前に発表された政策研究報告書をきっかけとして、互恵的な研究協力を推進しているが、欧米主導の政策決定への参加は認められていない。
2022年3月号
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患に伴う倦怠感やその他の健康問題が、COVIDワクチン接種者では、ワクチン非接種者に比べて起こりにくい可能性がある。
2022年3月号
SARS-CoV-2の新たな変異株の出現で、抗体による防御効果の低下が懸念されている。そうした中、ウイルス感染細胞を殺傷する「T細胞」にもっと注目すべきだという意見がある。
2022年3月号
妊娠した人がSARS-CoV-2に感染すると、重症化するリスクが高い。それを裏付ける証拠があるにもかかわらず、ワクチン接種をためらう人は多い。
2022年3月号
国際科学技術財団は2022年1月25日、ジャパンプライズ(日本国際賞)の受賞者を発表した。
2022年3月号
将来のパンデミックにうまく対応するには、SARS-CoV-2ウイルスがいかにしてこれほど急速に拡散したかを理解する必要がある。2020年初頭の監視活動では検出されなかった潜在的感染が、感染伝播についての1つのモデルから明らかになった。
2022年2月号
SARS-CoV-2感染に対して生まれながらに抵抗性のある人を探す、国際的なプロジェクトが始まった。こうした人を調べれば、新しい治療法の開発につながると期待されるからだ。
2022年2月号
臨床試験の結果と同等の有効性を実際に発揮できるならば、モルヌピラビルとパクスロビドはパンデミックの今後の流れを変える可能性がある。
2022年2月号
月探査や素粒子物理学など進展が楽しみな分野がある一方で、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株に引き続き目を光らせることになるだろう。
2022年2月号
空前の規模の接種作戦により、世界で44億人以上がCOVIDワクチンの接種を受けた。一方で、接種を受けられない人がまだ大勢いるという事実は、2021年のワクチンを巡る動きに大きな影響を及ぼした。オミクロン株の登場により、状況はさらに複雑化している。
2022年2月号
2020年春、政府は新型コロナウイルスの感染拡大を食い止める目的で、全国の小中高校を一斉休校とするよう市区町村に要請を出した。休校は、子どもたちに学習不足や運動不足などの悪影響を及ぼしただけでなく、親が休職を余儀なくされた家庭では、経済状況にも影響が及んだ。福元健太郎・学習院大学法学部教授は、自身の子どもの休校体験から「多くの犠牲をもたらした休校に、感染拡大の抑制効果はあったのか」と疑問に思い、公的なデータを用いて「休校にした自治体」と「開校にした自治体」の新規感染者数を比べ、「休校による感染抑止効果は認められない」との結果を得た。
2022年2月号
Alessandro Rossiは、国立物理学研究所(NPL;英国ロンドン)の計測研究員、ストラスクライド大学(英国グラスゴー)の上級講師および英国研究イノベーション機構(UKRI)フューチャー・リーダーズ特別研究員。
2022年2月号
ガラスは、リサイクルしても劣化しないし、カーボンフリーのガラスも製造可能だ。それなのに、なぜ各国でガラスが地中に埋められてしまうのだろうか?
2022年2月号
入国者に対するCOVID-19検査を最適化するためには、陽性になる可能性が高い人を予測する必要がある。ギリシャの国境では、検査対象を絞るための機械学習アルゴリズムが導入されている。
2022年1月号
ノババックス社をはじめとするバイオテクノロジー企業が開発したタンパク質ワクチンが、間もなく登場する。多くの長所があると科学者たちは言う。
2022年1月号
安価で広く使われている抗うつ薬が、軽症COVID-19患者の重症化を防ぐのに有効であることが明らかになった。
2022年1月号
スキルス胃がんは進行が早く、発見されたときには手遅れのことが多い。それ故、研究用の検体を得るのが難しく、治療法の開発も遅れていた。今回、患者の腹水に含まれる細胞を用いることで、スキルス胃がんの網羅的ゲノム解析が初めて行われ、治療標的を見つけることに成功した。研究を行った国立がん研究センター研究所の間野博行所長と佐々木博己研究員に話を聞いた。
2022年1月号
英国グラスゴーで開催されたCOP26で、主催者側が交渉の場に研究者を同席させなかった。ゼロカーボンの実現には、自然科学と社会科学の溝を埋める必要がある。
2021年12月号
マスク着用やワクチン接種などの防護策を講じない場合、初感染から17カ月後には再感染のリスクが50%に達すると、ウイルスの進化的関係に基づく推定方法により予測された。
2021年12月号
COVID-19から回復した人はその後のワクチン接種で、感染経験のない人に比べて強力な免疫を獲得することが分かってきた。これは、パンデミックを巡る大きな謎の1つとなっている。
2021年12月号
博士課程の学生が、自身の研究の魅力を3分で伝える「未来博士3分間コンペティション2021」が11月3日に開催された。
2021年12月号
第二次世界大戦終戦前後まで、日本を悩ませた問題は「栄養の欠乏」だった。ところが、その問題は1960年代ごろから「栄養の過剰」へと急速に変化する。中村丁次氏は、この両極端な問題を解決して健康寿命の延伸を成し遂げるべく、日本で最初の栄養相談室を開設し、健康な食事を研究、指導してきた。日本の経験は、世界の栄養不良問題の解決に役立つはずだ。そう考えた中村氏は、東京栄養サミット2021に先立ち、日本の経験を科学的見地からまとめた『ジャパン・ニュートリション』を出版した。
2021年12月号
COVID-19パンデミックの際に忌憚なく意見を述べた研究者たちが、ハラスメントに直面している。所属機関は、こうした研究者を支援する施策の充実を図らなければならない。
2021年12月号
世界の人々の栄養状態を改善し、環境を保護するために、国連は科学技術をどのように活用すべきか? 国連食料システムサミット2021の科学グループの委員長らによる寄稿。
2021年11月号
COVID-19の重症化リスクに、感染症との戦いで重要な血中タンパク質を攻撃する「自己抗体」が関係していることが分かった。
2021年11月号
世界各国の数百万件の論文出版記録の縦断研究から、20年前と比べて、研究者として歩み出す女性が増加傾向にあることが分かった。
2021年11月号
神経と筋肉のつなぎ目には多様なタンパク質が集積していて、神経筋シナプスの形成と維持に寄与している。これらのタンパク質をコードする遺伝子に変異があると、先天性筋無力症(CMS)という深刻な神経筋疾患が引き起こされる。小出昌平・ニューヨーク大学医学部教授らは、DOK7と、DOK7が結合することで安定化するタンパク質MUSKの構造と機能を詳細に解析し、DOK7変異によるCMSの発症機序を解明。さらに、得られた知見に基づき、機能異常を救済する抗体の作製にも成功した。
2021年11月号
初期のSARS-CoV-2ゲノムに関する未検証の分析結果から、今回のパンデミックの起源は2系統のウイルスに由来し、動物からヒトへの感染が複数回起こった可能性が高いとしている。
2021年11月号
臨床試験が進行中のさまざまなDNAワクチンの先頭を切ってZyCoV-Dと呼ばれるCOVIDワクチンが承認された。
2021年11月号
今回のコロナ禍で大きく飛躍したmRNAワクチンの研究は、実は、何十年も前から、数百人の科学者によって進められてきた。
2021年11月号
水生生物性食料は、食料安全保障にさまざまな寄与をしてきたが、これまで研究者や政策当局者に顧みられてこなかった。今こそ、正しく認識されるべきだ。
2021年10月号
新型コロナウイルスのデルタ株の猛烈な感染力には、スパイクタンパク質中の、ある重要なアミノ酸の変化が関係しているかもしれない。
2021年10月号
頻度は非常に低いとはいえ、COVIDワクチンの接種後に原因不明の血栓症を発症する人がいる。その機序の解明に、科学者たちは取り組んでいる。
2021年10月号
眼の中で、カメラのレンズのような働きをする水晶体。水晶体を構成する細胞は透明であり、核やミトコンドリアなどの、本来存在するはずの細胞小器官が全て消失している。細胞小器官の消失は、いったいどのような仕組みで起きているのか。この問いへの答えを探し求めてきた水島昇・東京大学教授は、ついにそれを解き明かした。
2021年10月号
研究風土の改善には、大学アドミニストレーター(URA)が重要な役割を担っている。しかし最大限の利益を得るためには、もっと多くのURAが研究の学術的側面に関わる必要がある。
2021年10月号
食料供給の突然の途絶(食料ショック)のリスクが高まっている という懸念が広がっている。食料ショックに対する都市の脆弱性は、そのサプライチェーン(供給連鎖)を多様化することによって減らすことができることが示された。
2021年10月号
ラクダやラマが産生する抗体には、「ナノボディ」と呼ばれる小さなタンパク質ドメインを用いて標的に結合するものがある。今回、COVID-19の治療において通常の抗体よりも優れた効果を発揮する可能性のあるナノボディを産生する、遺伝子改変マウスが作製された。
2021年10月号
食物が腸内微生物にどのような影響を与え、どうヒトの健康を左右するのかが分かれば、的を絞った食物戦略が得られる可能性がある。今回、ある臨床試験が行われ、その目標の実現に向けて一定の前進があった。
2021年9月号
SARS-CoV-2による神経学的症状は、複数のメカニズムによって起こると見られる。それを示唆する証拠が増えてきた。
2021年9月号
バリアントと疾患の遺伝的関連は、パズルのように複雑だ。しかし、このパズルを解くことができれば、治療薬開発のヒントが見えてくる。
2021年9月号
汎用性の高い技術をいかにして生み出し、その応用範囲をいかにして拡張するか。スタートアップを促進するとイノベーションにどのような影響がでるのか。日米のレーザー・ダイオード開発を例に、イノベーションにまつわる俗説に切り込み論じた清水洋・早稲田大学教授の書籍が、優れた研究に贈られる「シュンペーター賞」を受賞した。清水氏に、この研究で明らかにしたことと、基礎研究との関わりについて聞いた。
2021年9月号
人工知能(AI)は、エレクトロニクス産業の障害回復力(レジリエンス)を高める上で役立つ。しかし、その利益は公平に分配されなければならない。
2021年8月号
WHOは、新型コロナウイルス変異株の呼称をギリシャ文字とすることを提唱した。人々の間に混乱を引き起こしたり、特定の国に汚名を着せたりするのを避けるためだ。
2021年8月号
米国では、あるCOVIDワクチンで稀に血栓症が起こることが報道された後、接種をためらう人が増えたことが、ある世論調査で分かった。人々は専門家にどのような情報を求めているかを探った。
2021年8月号
新型コロナウイルスに対するワクチンの接種が、各国で競うように進んでいる。研究者たちはその効果を分析中だが、一方で、ウイルスの変異株が続々と出現する状況に懸念を抱いている。
2021年8月号
2021年3月、京都大学の若手研究者4人とシュプリンガー・ネイチャー編集長のフィリップ・キャンベルが、「学問の挑戦と機会:若手研究者とSDGsを越えた先の未来を見据えて」と題する座談会で議論を戦わせた。この座談会は4人に何をもたらしたのか。後日、彼らに話を聞くことができた。
2021年8月号
2021年7月号
米国の高校生アスリートにおける脳震盪の発生率とその原因に関するデータから、男女間で顕著な違いがあることが明らかになった。
2021年7月号
経鼻送達可能なハイブリッド抗体が作製された。この抗体を投与すると、SARS-CoV-2に感染したマウスで肺に存在するウイルスの量を急激に減少させることができた。
2021年7月号
種類の異なるワクチンを組み合わせて接種する方法の利点が試験の予備的な結果で示された。
2021年7月号
新型コロナウイルス感染者数の減少やワクチン接種率の上昇に伴い、米国などではマスクの着用義務が部分的に解除されつつある。この動きは早過ぎないのだろうか?
2021年7月号
脳の神経回路には、自己修復する機構が備わっているが、この修復力は加齢や神経変性疾患で衰え、認知や記憶などの脳機能が低下する。国立精神・神経医療研究センター神経研究所の村松里衣子・神経薬理研究部長らの研究チームは今回、損傷した神経回路の修復を担うオリゴデンドロサイトを分化誘導するカギが、生理活性ペプチドであるアペリンと、その受容体APJを介したシグナル伝達系の増大にあることを見いだした。
2021年7月号
2021年7月号
医薬品の臨床試験は、参加者を増やす必要がある。試験参加者の適格性基準の改定によりどのような利益がもたらされ得るかが、研究によって明らかになっている。
2021年6月号
COVID-19の治療薬として、米国では数カ月前に複数のモノクローナル抗体が承認されているが、効果がないと考えられていたため普及が進んでいなかった。
2021年6月号
パンデミックと戦うには、政策立案者は、STEM分野だけでなく、人文科学や社会科学の学者の助言にも耳を傾ける必要がある。
2021年6月号
換気が不十分だと、室内にウイルス粒子が集積して感染リスクが高まるが、「十分な換気」の基準や効果的な換気方法については、まだ明確な答えが得られていない。科学者たちは室内を安全にするために、さまざまな検討を行っている。
2021年6月号
2021年6月号
アストラゼネカ社とオックスフォード大学が共同開発したCOVID-19ワクチンを巡り、欧州では政治家や政策立案者による論戦が展開されているが、こうした政治的な発言で傷つくのは、ワクチンそのものの信頼性だ。
2021年5月号
1億6000万以上のデータポイントにアクセス可能な、COVID-19症例の国際的なオープンリポジトリが公開された。
2021年5月号
安価な迅速検査を大規模に実施するという戦略は SARS-CoV-2のパンデミックを抑え込むための切り札になるのか? 科学者たちがいまだに議論しているその理由を解説する。
2021年5月号
全力を挙げてワクチン接種を進めたとしても、COVID-19の制圧を可能にする理論上の閾値には手が届かないようだ。
2021年5月号
卵を産むなど哺乳類らしからぬ振る舞いで知られる、カモノハシとハリモグラ。およそヒトなどとはかけ離れた特徴を持つ哺乳類である。今回、そのゲノム配列が、国際的プロジェクトにより高精度で解読された。哺乳類の進化の謎を解き明かす手掛かりとなるのはもちろん、生息数が減少しているこれらの動物の保護に役立てるなど、さまざまな研究の土台となる貴重なリソースとなるだろう。化学受容体遺伝子の専門家としてこの研究プロジェクトに参加した早川卓志・北海道大学助教と二階堂雅人・東京工業大学准教授に話を聞いた。
2021年5月号
福島とチェルノブイリの原発事故は、原子力発電に依存して炭素純排出量をゼロにする政策が直面する諸課題を明確に示している。
2021年5月号
2021年5月号
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)とその感染症(COVID-19)に関する文献で重要なものをNature が精査し、まとめた(2021年4月)。3月分はこちら。
2021年4月号
英国で最初に報告されたSARS-CoV-2変異株B.1.1.7に関連した死亡者が増加している。だが、その理由には、まだ不確かなところがある。
2021年4月号
南アフリカ共和国で検出されたSARS-CoV-2変異ウイルスは、強い免疫応答を引き起こさないことが分かった。
2021年4月号
SARS-CoV-2が知覚にどんな影響を与えるのか、それがどれくらい続くのか、そして、可能性のある治療法についても、研究が続けられている。
2021年4月号
SARS-CoV-2が物体の表面に長時間残存し得ることは確かだが、表面を介した接触感染はCOVID-19の主要な伝播経路ではないことが示されている。ではなぜ、我々はいまだに徹底的な消毒行為を続けているのか。
2021年4月号
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)とその感染症(COVID-19)に関する文献で重要なものをNature が精査し、まとめた(2021年3月)。2月分はこちら。
2021年4月号
2021年4月号
世界保健機関(WHO)は2020年1月末に新型コロナウイルスの感染拡大について警鐘を鳴らしていたが、そのメッセージが各国によって無視されたのはどうしてだろう。
2021年4月号
Fortranからプレプリントアーカイブまで、プログラミングとプラットフォームの進歩は、生物学、気候科学、物理学を新たな高みへと導いた。
2021年4月号
ニューロンはシナプスを介して情報をやりとりし、複雑な神経回路を作り上げる。脳内に150億以上あるとされるシナプスの保護を担うのは、グリア細胞だ。ところが近年、この細胞がシナプスの保護のみならずシナプスの形成や再編成にも、従来考えられてきた以上に積極的に関与している、とする報告が相次いでいる。髙野哲也・慶應義塾大学医学部助教らは、この細胞が2つのニューロンを橋渡しする細胞接着構造(三者間シナプス)に着目し、機能分子の網羅的解析を行うことで、アストロサイトの役割の1つに抑制性シナプスを調節する機能があることを見いだした。
2021年4月号
COVAXは、世界で最も貧しい人々のワクチン接種とSARS-CoV-2流行の収束の両方のカギを握っている。
2021年3月号
ディープマインド社のタンパク質の三次元構造を決定するプログラムが生物学に変革をもたらすと、研究者たちは期待している。
2021年3月号
2020年は、にわかに現れた新型コロナウイルス関連の研究論文がウェブサイトやジャーナルを席巻する異例の事態となった。
2021年3月号
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)とその感染症(COVID-19)に関する文献で重要なものをNature が精査し、まとめた(2021年2月)。1月分はこちら。
2021年3月号
国際科学技術財団は2021年1月29日、ジャパンプライズ(日本国際賞)の受賞者を発表した。今年の対象分野は「物理、化学、情報、工学」領域では「資源、エネルギー、環境、社会基盤」分野、「生命、農学、医学」領域では「医学、薬学」分野。
2021年3月号
SARS-CoV-2対策のためにとられたスピーディーなアプローチは、ワクチン科学の未来を変えるかもしれない。
2021年3月号
騒音や人工光は野生生物の生息に、どのような影響を与えているのだろうか。生物多様性の保全を考えていく上で、それを知ることは極めて重要である。市民科学者によって収集された全米レベルの大規模な観察データを利用し、鳥の繁殖活動に及ぼす音や光の影響が解明されつつある。研究を主導した先崎理之・北海道大学大学院助教に話を聞いた。
2021年2月号
博士課程の学生が自身の研究の魅力を3分で伝える「未来博士3分間コンペティション2020」が11月21日、オンラインで開催された。
2021年2月号
幹細胞の維持に微小環境(ニッチ)が重要なことは既知だが、幹細胞の自己複製能と分化能が良いバランスで維持されている仕組みは、よく分かっていない。樗木俊聡・東京医科歯科大学教授らはこのほど、体内で常に作られている微量のインターフェロン(IFN)が腸幹細胞にとって大きな生理的ストレスになることを発見。正常な腸上皮細胞はそれを回避していることも見いだした。
2021年2月号
2020年、Nature は世界のポスドクを対象にアンケートを実施した。その調査の結果に基づき、今回は、ポスドクを苦しめる不安定な立場と彼らの失望について探る。
2021年2月号
SARS-CoV-2感染に重度の反応を示す人々の中には、DNAのある部分をネアンデルタール人から受け継いでいる人がいることが、遺伝子解析によって明らかにされた。ただし、ウイルスに対する反応様式の違いの全てがこの祖先によるわけではない。
2021年2月号
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)とその感染症(COVID-19)に関する文献で重要なものをNature が精査し、まとめた(2021年1月)。12月分はこちら。
2021年1月号
超伝導転移温度の象徴的な壁が打ち破られ、念願の室温超伝導が実現した。だが、超高圧下という条件がその解析を困難にしている。
2021年1月号
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)と その感染症(COVID-19)に関する文献で重要なものを Natureが精査し、まとめた(2020年12月)。11月分はこちら。
2021年1月号
COVID-19対策として、ワクチン候補群の臨床試験が記録的な速さで進んでいる。今回、2つのRNAベースワクチンの初期段階の臨床試験結果が報告された。このワクチンにより、好ましい免疫応答と安全性プロファイルが得られることが示唆されたが、課題も残されている。
2020年12月号
北極域の大規模火災によって記録的な量の二酸化炭素が放出された。その一因は、炭素を豊富に含む泥炭地が燃えたことにあり、温暖化で永久凍土が融解して、燃えやすい環境はさらに拡大している。
2020年12月号
SARS-CoV-2のさまざまな株は、今のところ、パンデミックの経過に大きな影響を与えていない。だが、 免疫反応をすり抜ける可能性は否定できない。
2020年12月号
地球の90倍もの厚さの大気を持つ金星。地球とほぼ同じ大きさと密度でありながら、大気の組成や動態が地球とは大きく異なる理由は未解明のままだ。その謎に迫る金星探査機「あかつき」による観測データの他、地球上からの望遠鏡観測でも、貴重な情報が得られ始めている。後者の方法で得られた金星大気のデータについて、研究に参加した佐川英夫・京都産業大学教授に話を聞いた。
2020年12月号
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)とその感染症(COVID-19)に関する文献で重要なものをNature が精査し、まとめた(2020年11月)。10月分はこちら。
2020年11月号
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)とその感染症(COVID-19)に関する文献で重要なものをNature が精査し、まとめた(2020年10月)。9月分はこちら。
2020年11月号
COVID-19の広がりを追跡し、封じ込めるには、情報の共有と活用が欠かせない。しかし米国ではデータの公開が遅らされ、さらにはデータに欠けがあるという。その原因は、政府の干渉と、長年にわたる公衆衛生データ管理の軽視にある。
2020年11月号
米国では、現在も多くの州で新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっている。そうした中、大学は数百万人の学生をキャンパスに迎え入れようとしていて、キャンパス内外の感染制御に、独自の検査やアプリなどを導入した大学もある。
2020年11月号
多数の遺伝要因が積み重なって起こる「複雑疾患(多因子疾患)」。糖尿病や心筋梗塞、統合失調症など、大半の病気がそうだ。そのような病気の解析手法である「ゲノムワイド関連解析(GWAS)」を用いて、次々と研究成果を発表してきた鎌谷洋一郎・東京大学大学院メディカル情報生命専攻教授。GWAS研究は一時の停滞期からなぜ再び注目を浴びるようになったのか。世界の研究の潮流と今後の抱負について話を聞いた。
2020年11月号
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に対する免疫応答が、人により大きく異なる理由は分かっていない。患者の免疫応答を経時的に追跡する新たな研究により、この問題に対する手掛かりと、重症度を予測する方法に関する示唆が得られた。
2020年10月号
一部の国では、多くの人から採取した検体を混ぜて一度に検査する「プール方式」を採用することで、新型コロナウイルスの検査に要する時間とコストを削減している。
2020年10月号
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)とその感染症(COVID-19)に関する文献で重要なものを Natureが精査し、まとめた(2020年9月)。8月分はこちら。
2020年10月号
研究者たちは、生物多様性と新興感染症の関連性を理解し、その情報を活用して将来の集団発生を予測して食い止めようと努力を重ねている。
2020年10月号
2020年はロザリンド・フランクリンの生誕100年に当たる。彼女はDNAの構造解明で「不当な扱いを受けたヒロイン」として知られているが、卓越した研究者であったことこそ広く知られ、記憶されるべきだ。
2020年10月号
イネの遺伝子レベルの研究は盛んで、多種多様だ。だが茎が伸びる仕組みについては、茎を伸ばす植物ホルモン「ジベレリン」の存在が知られているものの、なぜジベレリンがあると茎が伸長するのかは不明だった。名古屋大学の永井啓祐助教、芦苅基行教授らは、洪水が起きると瞬く間に茎を伸ばす浮きイネを使って、茎伸長のアクセル役とブレーキ役を担う2つの遺伝子を突き止めた。
2020年9月号
クライオ電子顕微鏡法の解像度の向上により、タンパク質の機能をこれまでにない詳細さで調べられるようになった。
2020年9月号
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)と、その感染症であるCOVID-19に関する文献をNature が精査し、主要な論文をまとめた(2020年7月)。6月分はこちら。
2020年9月号
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)と、その感染症であるCOVID-19に関する文献をNature が精査し、主要な論文をまとめた(2020年8月)。7月分はこちら。
2020年8月号
SARS-CoV-2はインスリン産生細胞などの血糖制御に関わる組織を傷害することが、ミニ臓器での研究で示された。
2020年8月号
デキサメタゾンという広く使われているステロイド薬は、重症患者の死亡を3分の1減らすことが大規模試験で分かった。
2020年8月号
小児で脳卒中などの深刻な症状が起こりにくいのは、血液が凝固しにくい健康な血管を持っているから かもしれない。それを示唆する証拠が報告された。
2020年8月号
新型コロナウイルスは、肺や肝臓、腎臓などの組織を直接損傷することが、複数のオルガノイド研究で示された。この結果は、重篤な合併症を説明できる可能性がある。
2020年8月号
研究者たちは感染者致死率を使って新興感染症への対応策を判断しているが、流行の最中にその値を正確に算出するのは容易ではない。
2020年8月号
COVID-19対策のロックダウン解除に伴い、各国の研究者たちは研究室での活動を再開し始めているが、シフト制やマスクの着用、社会的距離の確保といった制約に合わせてさまざまな調整を強いられている。
2020年8月号
世界の国々が移動の制限を解除し始めているが、どのように行うべきかについての統一見解がほとんど形成されていない。最優良事例の共有が、進むべき道だ。
2020年7月号
スウェーデン公衆衛生局のアンデシュ・テグネルが Nature に、新型コロナウイルスによるパンデミックに対するスウェーデン独自の戦略について語った。
2020年7月号
中国伝統医学の薬をCOVID-19治療に用いる前に厳格な治験データで安全性と有効性を証明することが必要だと、科学者たちは指摘する。
2020年7月号
SARS-CoV-2とCOVID-19に関する文献で重要なものをNature が精査し、まとめた(2020年6月)。5月分はこちら。
2020年7月号
各国の政府は、ロックダウンを解除する際にカギとなるのが新型コロナウイルス 対策アプリだと考えている。ただし、アプリの有効性が認められ、データの機密保護が万全であることが必要だ。
2020年6月号
殺処分かリリースか、それとも移転か。COVID-19対策の措置を受け、研究者たちは自らの研究と研究用の動物たちを守ろうと苦慮している。
2020年6月号
SARS-CoV-2に対するワクチンの開発が世界中の企業や大学で進められていて、それは90種類以上に及ぶ。中には、人体で使用されたことがあるがワクチンには使われたことがない技術を用いたものもある。少なくとも6つの研究チームがワクチン製剤の安全性試験でボランティアへの投与を開始し、他のチームも動物での試験を始めている。
2020年6月号
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)と、その感染症であるCOVID-19に関する文献をNature が精査し、主要な論文をまとめた(2020年3〜4月)。5月分はこちら。
2020年6月号
研究者としての昇進を妨げる可能性のある「母親の壁」。これについて、ロックダウンでどのようなことが明らかになるのか。私はそれを知りたいと考えている。
2020年6月号
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)と、その感染症であるCOVID-19に関する文献をNature が精査し、主要な論文をまとめた(2020年5月)。3〜4月分はこちら。
2020年5月号
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対して現在行われている診断検査とはどのようなもので、国によって検査件数に大きな差があるのはなぜかをNature が調べた。また、開発中の新たな検査法についても報告する。
2020年5月号
乗客が新型コロナウイルスに感染したクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号のような閉鎖環境は、ウイルスを理解するための貴重な機会を提供してくれる。
2020年5月号
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大で、各学会は大会開催を見送る傾向にある。研究者たちは、他の研究者と関わりを持つ方法を改めて模索し始めているが、もっと前から取り組んでおくべきだったという声も出ている。
2020年5月号
生物多様性条約第15回締約国会議(CBD–COP15)では、議長国である中国による野心的な目標に向けた要求が見込まれるとともに、中国自体の保全の取り組みにも注目が集まるだろう。
2020年4月号
新型コロナウイルス感染症を引き起こすウイルスの感染力が近縁のウイルスよりも高い原因は、微視的な特徴にあるのかもしれない。
2020年4月号
Nature が150周年を迎えたのを機に、その価値観と、Nature を改善する方法について考えることにした私たちは、読者の意見をどうしても聞きたくて、アンケート調査を実施しました。
2020年4月号
日本の若手研究者の支援に本当に必要なもの、それは何か。実績ある研究者や、文部科学省、JST、AMED関係者が、EUの代表者やEMBOのディレクターと、東京で意見を交換した。
2020年4月号
世界で活躍することを目指す研究者と、その家族を支援するNPO法人ケイロン・イニシアチブが、研究者留学に帯同する家族を対象とした助成金制度を創設。理事長の足立春那(あだち・はるな)氏と、副理事長として活動をサポートする夫の剛也(たけや)氏に、設立のきっかけと設立に込めた思いを聞いた。
2020年4月号
細胞が接触や圧力を感知する仕組みは数十年にわたって謎に包まれていたが、近年になって、そこに関与するタンパク質の解明が大きく進んだ。
2020年3月号
国際科学技術財団は2020年2月4日、ジャパンプライズ(日本国際賞)の受賞者を発表した。授賞式と記念講演は共に4月に行われる。
2020年3月号
2020年3月号
研究者としてキャリアを高めるにはどうしたら良いでしょう? 今回は、研究の場を新天地に求めることの利点や、研究を続けるのに最良の場を探す方法についてお話しします。
2020年2月号
助成金を配分する課題を選ぶに当たり順位を決めねばならないが、申請の大部分が申請基準を満たし、かつ甲乙つけがたい研究だ。それに、社会に変革をもたらす研究を予想するのは極めて難しい。そうした中、研究資金を無作為に配分する助成機関が増えている。
2020年2月号
2020年2月号
中国は、米国で研究している研究者を募集することにより、米国の研究資金を利用してその軍事力と経済力を強化している、と米国議会上院小委員会が公表した報告書が警告した。
2020年1月号
2020年1月号
科学研究は、これまでと同じ歩み方で未来へと進んでいては社会契約を全うすることができず、新たな地平へ到達することもできないのか。サイエンスライターPhilip Ballが、現在の科学システムに至るまでの150年間を振り返り、論じる。
2019年12月号
EMBOが、欧州以外の地域の若手研究者を応援する新しいプログラムを創設した。日本の研究者も利用可能なのだろうか。2019年10月、京都で開催されたSTSフォーラムのために来日したEMBOディレクター、マリア・レプチン氏に話を聞いた。
2019年12月号
Nature 創刊からの150年間に研究システムがどのように形作られてきたかを振り返るエッセーシリーズの第一弾として、政府による科学支援のルーツをたどる。
2019年11月号
匿名化されたデータセットが増えている一方で、個人の特定はますます容易になっている。研究参加同意手続きを改定して、特定の人々が標的にされないように守らなければならない。
2019年11月号
Nature の創刊号は、1869 年11月に発行されました。Nature の歩みから、科学の発展と、社会における科学の役割の変遷を知ることができます。創刊150周年を記念したNature 特別記事の日本語要約(第2部)をお届けします。
2019年11月号
2019年11月号
日本の科学者たちが、アスガルド類アーキアの培養に世界で初めて成功した。このアーキアは、かつて真核生物へと進化を遂げた細胞に似ている可能性がある。
2019年10月号
中南米では世界の輸出用バナナのほとんどが生産されているが、このほど、流通量が最も多いバナナ品種に壊滅的な被害をもたらす真菌が南米で確認された。
2019年10月号
Nature の創刊号は、1869年11月に発行されました。Nature の歩みから、科学の発展と、社会における科学の役割の変遷を知ることができます。Nature では創刊150周年を記念し、Nature と研究コミュニティーの過去、現在、未来を俯瞰できる特別記事をご用意しております。その日本語要約をお届けします。
2019年10月号
研究コミュニティーでは、研究のデザインと方法論が最終結果と同じように報われなければならない。この課題に取り組む手段の1つが、Registered Reports(査読付き事前登録研究論文)という形式の出版物だ。
2019年9月号
最短20秒で全身を画像化できるPETスキャナーが開発された。臨床診断での放射線被曝を大幅に低減できるだけでなく、さまざまな医学研究にも利用できると期待される。
2019年9月号
水道水のように容易に手に入る、安価で安全な水は、感染症を防ぎ、子どもに学校に行く機会を与え、生活の向上や女性の社会進出につながる。国連機関でもこの50年、いろいろ取り組んできた。その1つが2000年に採択されたミレニアム開発目標(MDGs)7C「2015年までに、安全な飲料水と基礎的な衛生設備を継続的に利用できない人々の割合を半減させる」だ。この目標はMDGsの中でもいち早く達成された。今回、(株)TECインターナショナルの福田紫瑞紀さん、沖大幹・東京大学教授/国際連合大学上級副学長、乃田啓吾・岐阜大学助教が、水目標達成の背景を明らかにし、Nature Sustainability 5月号に発表した1。水問題だけでなく、今後の持続可能な開発目標(SDGs)など国際開発目標に取り組む上でも、非常に興味深い論文である。
2019年9月号
誰でも発信できる時代、科学者が心得ておくべきこととは何か。ソーシャルネットワークサービス(SNS)やクラウドファンディングなどとの関わり方について、科学技術社会論を専門とする横山広美・東京大学教授に寄稿いただいた。
2019年9月号
研究者の専門知識は研究室以外の場所でも必要とされていると、渡辺正夫・東北大学大学院教授は話す。植物遺伝育種学の第一線で活躍する渡辺氏は、2005年から小学校や高校を中心に出前授業を行い、2018年12月には1000回を数えた。渡辺氏に、研究者によるアウトリーチ活動の意義について聞いた。
2019年8月号
麻疹やおたふく風邪などは、一度かかると、再び発症することはほとんどない。これは、免疫細胞が病原体のタンパク質を記憶していて、再感染の際に速やかに応答しているからだ。このような免疫記憶の中心となる記憶T細胞の産生に脂肪酸代謝が関わっていることを、千葉大学大学院医学研究院教授で研究院長の中山俊憲氏と、かずさDNA研究所オミックス医科学研究室室長の遠藤裕介氏らの研究グループが発見し、新創刊のNature Metabolism 2月号に発表した1。
2019年8月号
欧州と日本の科学技術研究の連携を促進するため、欧州研究会議(ERC)主催の研究プログラムを説明するシンポジウムが2019年6月5日、東京・目黒区の東京工業大学で開催された。欧州連合(EU)では、史上最大規模の研究・イノベーション枠組み計画「Horizon 2020」が進行中だ。ERCのジャン・ピエール・ブルギニョン議長にHorizon 2020の現状と今後、日本へのメッセージなどを聞いた。
2019年8月号
医学ではゲノム解析の重要性が増している。病気の原因解明や創薬においてはもちろんのこと、個別化医療や予防医学への応用に至るまで、医学のさまざまな側面でゲノム解析の利用が進んでいる。特に、患者のゲノムデータを集めて行う病気の研究では、データベースの規模が研究成果に直結してくることが多いといわれる。精緻な医療の実現を目指し、ゲノム情報を活用する国が出てきている中、日本におけるゲノムデータの収集と活用の状況はどうなっているのか、徳永勝士氏と岡野栄之氏に聞いた。
2019年6月号
統計的有意性に代わる概念とは何だろう。それを探る作業は科学をますます難しくすると思えるかもしれないが、偽陽性や大げさ過ぎる主張、影響の見落としを避けるために役立つ可能性がある。
2019年6月号
1869年11月4日に創刊されたNature。だが今日の学術研究の世界は、論文の電子化やオープンサイエンスの進展、研究の大型化が進み、創刊当時とは全く違う景色となった。Nature が共に歩んできた研究コミュニティーは、これからのNature に何を求めているのか。分野を切り開いてきた4人の研究者に聞いた。
2019年5月号
幹細胞移植によりHIVが寛解した最初の症例は偶然ではなかったことを示唆する、2人目の症例が報告された。HIV治療を切り開く突破口となる可能性がある。
2019年5月号
Nature は、創刊号の出版から150年間、読者である研究者のコミュニティーとともに進化してきた。私たちは、これからも成長を続けていきたいと考えている。
2019年3月号
遺伝子編集技術を受精卵に施し、それを母胎に移植して双子の女児を誕生させたという中国人研究者の主張に対して、科学コミュニティーの行動が強く求められる。それにふさわしい第一歩が、研究登録制度の新設だと考える。
2019年3月号
論文の構造に沿って読者の質問に答えていくことで、あなたの論文はその分野に大きな影響を与えられるものとなり、あなたの国際的評判の構築にもつながります。
2019年2月号
軟骨魚類板鰓(ばんさい)類のサメ類は、その名の通り、硬い骨を持たない。ヒトの属する硬骨脊椎動物の祖先とは、4億5000万年前に分岐した。日本近海には、映画で有名なホホジロザメ、巨大なジンベエザメ、ダイバーに人気のシュモクザメをはじめ、約150種が生息している。このほど、理化学研究所生命機能科学研究センター分子配列比較解析ユニットの工樂樹洋ユニットリーダーらを中心とする、沖縄美ら海水族館、海遊館、大阪市立大学、東京大学の共同研究チームが、ジンベエザメ、トラザメ、イヌザメの全ゲノムを解析し、脊椎動物の進化やサメの生態についてさまざまな知見を得た。成果は、Nature Ecology & Evolution 11月号に発表された。
2019年1月号
IPCCは最新の報告書で、地球の気温はすでに産業革命以前から1℃上昇していて、1.5℃を超えると何が起こり、それを避けるためには炭素排出の習慣をどう改める必要があるかを具体的に示した。
2019年1月号
弊誌オンライン版での新しい論評欄への投稿記事は、査読後、関連リンクや論文著者の返答と共に掲載されます。
2018年12月号
全米科学財団の助成金受給者がこの規約に違反した場合、所属研究機関は調査を行い、財団に報告することが義務付けられた。被害者や目撃者が直接財団に通報することもできる。
2018年11月号
タンカーの運行や事故に関する記録は、本質的な理解を妨げる内容であることが多く、これが研究や法律にゆがみを生じさせている。今後優先的に進めるべき研究を3つ提案する。
2018年9月号
神経科学研究に間違いが生じているのは「必要かつ十分」という語句が不適切に用いられているからだ、という主張がある。
2018年8月号
3200人の科学者を対象とする調査から、研究室の主宰者(PI)からのプレッシャーやPIの指導力に対する不満により、世界中の若手研究者がストレスをためていることが明らかになった。
2018年8月号
NatureおよびNature関連誌は、ヒトの胚と胚性幹細胞を用いる研究論文を取り扱う際の出版方針を改訂しました。
2018年7月号
Natureの投稿の手引きは、編集過程・方針の一部に関する記述が十分に明瞭でないと思われるため、常に誤解が流布している。この社説で、それらを一掃するとともに、我々が投稿規定の改訂に取り組んでいることも伝えたい。
2018年7月号
研究が特注ソフトウエアに支えられたものである場合、論文を投稿する際にソフトウエアのプログラムも提出して、査読を受けることを推奨します。
2018年7月号
磁性体(磁石)が変形すると磁化方向が変わる性質を利用して、変形の方向を検出できる柔らかいひずみセンサーの動作実証に、東京大学大学院工学系研究科准教授の千葉大地さん、同研究科博士課程2年の太田進也さん、株式会社村田製作所シニアプリンシパルリサーチャーの安藤陽さんの3人が世界で初めて成功し、新創刊のNature Electronics 2月号に発表した。電子の磁気的性質であるスピンを活用する「スピントロニクス」と、折り曲げることができる電子部品を創造する「フレキシブルエレクトロニクス」を融合した新しいデバイス開発に道を開くものだ。3人に研究の背景、今後の方向性などについて聞いた。
2018年6月号
肝移植における臓器保存に体温維持型の灌流装置を用いることで、臓器の損傷が抑えられ、廃棄率が低下した。将来、臓器不足の解消につながるかもしれない。
2018年6月号
空気中の窒素から、肥料として不可欠なアンモニアを作る「ハーバー=ボッシュ法」は、人類の食料供給を100年以上にわたり支えてきた。ただし、この方法は高温高圧が不可欠であるため、多くのエネルギーと大型プラントが必要となる。このため、消費エネルギーが低く小型の設備かつオンサイトで可能な窒素固定法の開発は、現在最も社会的要請の高い研究の1つだ。このほど、ランタン・コバルト・ケイ素の3元素から成る金属間化合物(LaCoSi)が、400℃、常圧という従来よりはるかに温和な条件下で窒素固定触媒として働くことが、Nature Catalysis に報告された。その開発の過程について、細野秀雄・東京工業大学教授および多田朋史・同大学准教授に話を聞いた。
2018年5月号
第2回のテーマは学術出版倫理です。その中でも、しっかりと理解しておくべき4つの事柄について説明します。
2018年4月号
学術研究が社会に与えたインパクトの痕跡を追うことで、こうした「インパクト」を追求する研究者は手掛かりを得られるはずだ。このほど創刊されるNature関連誌3誌も役立つことだろう。
2018年4月号
SF映画でよく見る「虚空に浮かぶ立体動画」が、粒子系とそれを走査するレーザーで実現した。この技術で映し出された物体は、あらゆる角度から見ることができ、実空間の固体物体と共存することができる。
2018年3月号
『学術界サバイバル術入門』へ、ようこそ。Nature Research Academiesの講師、ジェフリー・ローベンズです。1回目では、学術出版が科学者をどのように支えているかについて、① 研究結果の出版が重要な理由、② 学術誌の役割、③ 投稿先の重要性、の3つの観点から説明します。
2018年3月号
博士課程学生を対象とするアンケート調査から、不確実な未来への不安や、指導教員への不満が強い一方で、博士課程全般に対する満足度は高く、研究者としての就職を望んでいることが分かった。
2018年2月号
地球上には、さまざまな胴の長さの脊椎動物がいる。最も短いものの代表例はカエルで、背骨の数は8つほど。最長はニシキヘビ(ヘビ亜目)などで、背骨は200以上あるという。名古屋大学大学院理学研究科の鈴木孝幸講師、黒岩厚教授らは、長年、後ろ足がいつ、どこに、どのような遺伝子の働きで作られるかを調べてきた。このほど、後ろ足を含む体の後方部分の構造を作る場所が、ただ1つの遺伝子で決定されることを突き止め、この遺伝子の発現タイミングが、後ろ足の位置、つまり胴の長さの多様性を生み出していることを見いだした。
2018年2月号
研究論文を精査して塩基配列の誤りを発見するオンラインソフトウエアが開発された。このプログラムを使って60編以上の論文で不適切な塩基配列が発見されたが、そのほとんどはがんに関する論文だった。
2017年12月号
CRISPR–Cas9法を用いたヒト生殖細胞系列のゲノム編集研究の進展により、ヒト胚の研究に対して緊急に必要とされるいくつかの倫理的配慮に光が当たっている。
2017年12月号
理化学研究所主宰の哺乳類ゲノムの国際研究コンソーシアム、FANTOM。現在の第5期FANTOM5では、500種類以上の細胞(臓器由来含む)ついて、ゲノムから転写されたRNAが網羅的に測定・解析された。FANTOM5データの多くはすでに公開済みだが、データ取得プロセスや試料の品質、データ処理などを詳しく記述した報告は、今回のScientific Data が初めてだ。同時に、FANTOM5などの遺伝子発現データを簡単に検索・閲覧できるウェブツール「RefEx」に関する論文も同誌に報告。公開データの活用を促すこれらの研究に尽力した4人のデータサイエンティストに話を伺った。
2017年11月号
iPS細胞から作製したニューロンをパーキンソン病モデルのサルに移植したところ、2年間にわたって症状の改善が観察され、その間、移植ニューロンは有害な作用を引き起こさなかった。
2017年9月号
沖合での石油や天然ガスの探査で発せられる強力な音波が、動物プランクトンの命を奪うことが示された。この影響が及ぶ範囲は従来の想定をはるかに超えており、海の生態系を支える微小な動物たちの死によって、魚類や頂点捕食者へも悪影響が及ぶ恐れがある。
2017年9月号
近頃、研究者向けの巨大なソーシャルネットワークが急速に拡大している。ほんの数年前には想像できなかったような活況の理由を探るため、Natureはアンケート調査を実施した。
2017年8月号
植物なのに虫を捕らえて食べる「食虫植物」。この不思議な生き物は、一体どのように進化してきたのだろう。このほど、長谷部光泰・自然科学研究機構基礎生物学研究所教授と、当時大学院生として長谷部研に所属していた福島健児さん(現 コロラド大学研究員)らは、食虫植物フクロユキノシタのゲノム配列を明らかにし、さらに捕らえた虫を分解する消化酵素の進化について解明して、Nature Ecology & Evolution 3月号に発表した。食虫植物の進化の謎解きに挑むお二人に聞いた。
2017年7月号
イモムシやナナフシなど一部の昆虫の腸内には、共生細菌がいないらしい。また、わずかだが脊椎動物でもこうした例が報告されており、「腸内細菌は全ての動物で不可欠な存在」という近年定着しつつある概念に疑問を投げ掛けている。
2017年7月号
大量の水を含み弾力性に富んだハイドロゲルは生体軟組織と似ており、医療材料として注目されている。一方で、膨潤、白濁、炎症などを引き起こすといった問題も抱えており、広く実用化されているものはあまりない。このほど、酒井崇匡(さかい・たかまさ)・東京大学大学院准教授らは、膨潤や白濁の問題をクリアし、液体からゲル化までの時間も制御できる、注入可能なハイドロゲルを開発。実際にこのハイドロゲルをウサギに導入し、長期の埋め込みが可能な人工硝子体としての安全性を確認した。
2017年5月号
74の分類群に属する多様な恐竜について、骨の解剖学的特徴を細かく調べた研究から、主要な系統群の間に新たな類縁関係が浮かび上がった。恐竜の分類に関する長年の定説を根本から覆す今回の新説で、「教科書の書き換え」が必要になるかもしれない。
2017年5月号
日本学術会議は、戦後維持してきた軍事研究拒否の声明を継承すると決定した。軍事研究に対する同組織の立場表明は50年ぶりだ。
2017年5月号
地球に一番近く、空を見上げればそこにある月。このなじみ深い天体を日本の探査機「かぐや」が調査したことは、よく知られている。このほど、地球の高層大気圏から流失したO+イオンが月にまで届いていることが、大阪大学・名古屋大学・JAXA(宇宙航空研究開発機構)の共同研究により突き止められ、 2017年創刊のNature Astronomy 2月号に発表された。検出されたO+は高いエネルギーを持ち、月表面の数十nmまで貫入することができる。このことは、太古から現在に至るまで、月が常に地球由来の物質にさらされてきたことを明らかにした初めての成果である。研究の中心となった、大阪大学大学院理学研究科の寺田健太郎さんとJAXA宇宙科学研究所の横田勝一郎さんにお話を伺った。
2017年4月号
多彩な生態系サービスを提供することで知られる、沿岸域のスーパーヒーロー「海草藻場」に、海水中の病原性細菌を除去する能力があることが明らかになった。海草藻場の存在は、サンゴ礁の病気を防ぐのみならず、ヒトの健康にも大いに関係しているとみられる。
2017年4月号
人間の脳が恐怖体験を記憶しやすいのは、危ないものに二度と近づかないために意味があるからだといわれる。しかし、それがトラウマ(心的外傷)となって日常生活に支障をきたすこともあり厄介だ。このほど、最新の情報学的技術を脳科学に応用して恐怖記憶を消去する新技術が、新創刊のNature Human Behaviourに報告された。従来の恐怖記憶の緩和治療に伴いがちなストレスを大きく低減できる画期的な方法と期待される。論文著者である情報通信研究機構(NICT) 脳情報通信融合研究センター(CiNet)および株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR) 脳情報通信総合研究所に所属するお三方に話を伺った。
2017年3月号
昔ながらの玩具「ぶんぶんゴマ」をヒントにした手動遠心分離機が開発された。血液サンプルの処理やマラリア原虫の分離を、電気なしで安価に行うことが可能だ。
2017年1月号
科学技術振興機構主催のサイエンスアゴラ2016で、量子科学技術研究開発機構の山田真希子(やまだ・まきこ)氏がうつ病の診断精度を向上できる可能性を秘めた量子イメージング技術について講演した。シュプリンガー・ネイチャーも対談という形でこのセッションに協力させていただいた。
2016年12月号
ブラジルに生息するオマキザルの一種には石を打ち割る習性があり、その結果生じる石の破片は、旧石器時代の人類が作った剥片石器によく似ていることが報告された。これは、考古学における石器の解釈にまさに一石を投じる発見かもしれない。
2016年10月号
ネオニコチノイド系農薬のEUによる再評価を前に、新たな証拠が加わった。9年間に及ぶ野生のハチの個体数調査で、この農薬の影響が裏付けられたのだ。
2016年9月号
白亜紀の幼鳥の翼が、琥珀の小片の中からありのままの姿で発見された。その特徴の数々は、この原始的な鳥類が、現生鳥類とさほど変わらぬ翼を持っていたことを物語っている。
2016年9月号
Nature は、最新の研究論文を理解しやすいように論文著者自身による概説を掲載する実験を行います。読者の皆様のご意見をお聞かせください。
2016年8月号
本誌が実施したアンケート調査により、科学界を揺るがす「再現性の危機」について、科学者自身はどのように見ていて、どうすれば再現性を向上させられると考えているかが明らかになった。
2016年7月号
広く普及しているリチウムイオン電池の3倍以上の出力特性を持つ、全固体(型)セラミックス電池が開発された。開発に成功したのは、東京工業大学物質理工学院の菅野了次教授、トヨタ自動車の加藤祐樹博士らの研究グループで、リチウムイオンの伝導率がこれまでの2倍という過去最高の性能を誇る固体電解質の発見によって実現した。次世代の自動車開発、スマートグリッド拡大などにつながる有力な蓄電デバイスとして期待される。成果は今年1月に創刊したNature Energy の4月号に発表された。菅野教授、筆頭著者の加藤博士に研究の意義、今後の展望などについて伺った。
2016年6月号
サイズからゲノムの複雑さまで、全てが規格外な「ミミウイルス」。発見以来、ウイルスの概念を覆し続けているこの巨大ウイルスで、今度は原核生物が持つCRISPR系に似た防御機構が見つかった。
2016年6月号
あらゆる色の蛍光を発するウイルスサイズの粒子が、テレビのディスプレイからがん治療まで、広範な応用分野に革命を起こそうとしている。
2016年6月号
地球温暖化やエネルギー問題を背景に、太陽の光エネルギーを化学エネルギーへと変換する人工光合成技術の開発が注目を集めている。その1つに「水を酸化して酸素、プロトン、電子を得る反応」がある。このような中、分子科学研究所、正岡重行グループは高い効率で酸素を発生させる鉄触媒を作り、Nature に報告した。筆頭著者である総合研究大学院大学博士課程3年の岡村将也さん(2016年4月より名古屋大学大学院特任助教)に掲載までの経緯を伺った。
2016年5月号
昆虫の体内に棲みつき、昆虫にとって欠くことのできない役割を果たしている共生細菌。自然界で別々に暮らしていた昆虫と細菌が、長い進化の過程を経て、互いに不可欠な存在になったのだ。しかし、そのような関係に至った仕組みはまだ分かっていない。この謎に迫る重要な発見がNature Microbiology の創刊号で報告された。自然界で現在進行中の共生進化の過程を捉えることに、日本の研究チームが成功したのだ。
2016年4月号
遺伝子組換え反対派のウェブサイトなどで広く引用されている論文数本に、不正な画像改変などが見つかった。そのうちの1本はすでに取り下げられている。
2016年4月号
1985年のフラーレン発見以来、ナノチューブやグラフェンなどのいわゆるナノカーボン類は社会に多大なインパクトをもたらしてきた。ナノカーボン類は現在、レーザー照射などでグラファイトを蒸発・凝結させるといった「トップダウン型」の手法で合成されることがほとんどだが、近年、ナノカーボン構造を有機合成の手法で構築する「ボトムアップ型合成」の研究が盛んになっており、この手法に関する総説がNature Reviews Materials 創刊号に掲載された。著者である名古屋大学の伊丹健一郎教授、瀬川泰知特任准教授、伊藤英人講師のお三方に、有機合成で作ることの意義と現状、今後の展望について伺った。
2016年2月号
20年先の自然科学研究を考える自然科学研究機構(NINS)に、「アストロバイオロジーセンター(ABC)」が誕生した。2015年4月に創設され同年11月20日に開所式を迎えた同センターは、系外惑星探査を主軸に生物学、生命化学、地球物理学などとの融合研究を行い、宇宙における生命誕生と進化の謎に挑む。キャンパスは、東京都三鷹市にある国立天文台に構えている。
2016年2月号
このたび、遺伝子編集技術で改変された細胞の移入により白血病が寛解したことが報告された。この他にも現在、複数企業が遺伝子編集技術をヒトの治療に使う準備を着々と進めており、この治療法にますます注目が集まっている。
2015年11月号
福島第一原発事故を受けて全ての原発が停止していた日本で、初めて川内原発が再稼働した。原子力発電を再開して火力発電への依存度を下げれば二酸化炭素の排出量は抑えられるが、気候変動を食い止められるほどの削減量ではない。
2015年11月号
伝染病の流行や汎発流行に対する人類の備えは十分とはいえない。けれども、西アフリカで発生したエボラ出血熱の大流行に対する恐怖が、そんな状況を変えるかもしれない。
2015年11月号
ベンゼン環は、有機化学の象徴ともいうべき構造であり、天然・人工を問わず多くの化合物の基本単位だ。このベンゼン環に各種の置換基を導入することで、多様な性質を引き出すことができ、例えば液晶材料・有機EL・医薬品などの高付加価値化合物がここから生み出される。このため、ベンゼン環上の望みの位置に必要な置換基を導入する手法の開発は、化学の黎明期から変わらぬ重要なテーマだ。このほど名古屋大学の伊丹健一郎教授、山口潤一郎准教授らのグループは、ベンゼン環の6つの炭素に、全て異なる芳香環が導入された「ヘキサアリールベンゼン」の合成に成功した。その意義、研究の経緯などを、両博士に伺った。
2015年10月号
カラフルな粒子のコロイド懸濁液をフィルターに用いることで、デジタルカメラやスマートフォンカメラを小型分光計に変身させられる技術が開発された。
2015年10月号
次々と出る良好な実験データ─「うまくいきすぎて、怖いくらいでした」と、持田 啓佑・大学院生は研究を振り返る。オートファジーは、細胞内の大規模分解システム。世界中で激しい研究競争が繰り広げられているこの分野で、細胞の小胞体に加え、核のオートファジーの仕組みをも明らかにすることに、わずか2年ほどで成功したのだ。
2015年9月号
これまで長く原因不明だった星の光の吸収現象は、宇宙空間に漂うサッカーボール形の分子、C60フラーレンによるものであることが分かった。
2015年8月号
初期の人類とされるアウストラロピテクス・アファレンシス。彼らとほぼ同時期に同じくエチオピア北部に生息していた、新種とみられる約340万年前のヒト族化石が発見された。
2015年8月号
日本の防衛省が、大学や研究機関などの基礎研究に対する研究資金制度を初めて設けた。これは、戦後長く平和主義を貫いてきた日本の研究者社会と軍(防衛省・自衛隊)との関係が変化しつつあることを示すものだ。
2015年7月号
動物実験の検出力を確実なものとするために、統計学に基づいた実験計画立案が研究者に求められている。その実現には、研究機関をはじめとするさまざまな支援が必要だ。
2015年7月号
2015年6月号
ヒトで世代を超えて伝わるような遺伝的改変は重大なリスクをもたらす一方で、その治療的利益はほんのわずかだとして、研究者らが警鐘を鳴らしている。
2015年5月号
「重力波検出」という2014年3月の衝撃的な発表は、衛星観測データを踏まえた分析により白紙に戻った。しかし、宇宙の始まりに生じたさざ波の探索競争は一層激しさを増している。
2015年3月号
ヒトの始原生殖細胞を多能性幹細胞から高効率で作製する方法が開発された。そこから、ヒトの始原生殖細胞形成のカギとなる因子が明らかになった。
2015年2月号
2015年1月号
長く謎に包まれていた恐竜デイノケイルスの全身骨格が発見され、巨大化と共に奇妙な特徴の数々を獲得した、極めて個性的な姿が明らかになった。
2014年11月号
iPS細胞から作成された網膜の移植手術が、世界に先立って日本で行われた。他の国々でも、研究者たちがiPS細胞治療の臨床研究へのゴーサインを今か今かと待ちわびている。
2014年10月号
米国疾病対策センターで、炭疽菌と高病原性インフルエンザウイルスが 関係する事故が続けざまに起こった。それを受けて、バイオ実験施設により強力な「安全文化」を求める声が上がっている。
2014年8月号
カイコの性決定の最上流因子は80年間不明であったが、今回、カイコの雌性がタンパク質ではなく小分子RNAによって決定されていることが示された。小分子RNAが性決定の最上流因子である生物はこれまで報告されていない。
2014年3月号
Nature 2014年1月 30 日号641〜647ページ、および676〜680ページに掲載された小保方晴子氏ら(理化学研究所ほか)による論文 2 報について、論文中にいくつかの致命的な誤りがあることを理由に論文撤回の要請があり、弊社はそれを受理いたしました。
撤回理由は、Nature 2014年7月3日号112ページ、および下記URLをご覧ください(ウェブページが最新情報になります)。Natureダイジェスト 2014年3月号2〜3ページでも、これらの論文に基づいた記事を掲載しておりました。
強く圧迫したり、酸性溶液に浸けたりするだけの手軽な方法で、 体細胞を受精卵に近い状態へとリセットできることが明らかになった。
2014年2月号
2011年の東北地方太平洋沖地震における地震規模と津波の背景に、薄くてもろい粘土層の存在があったことが、震源海域での掘削により明らかになった。
2014年2月号
2014年5月、データセットに光を当て、その再利用の促進を目指すオープンアクセスジャーナル、Scientific Data を創刊。
2013年12月号
数十個ものアンテナからなる巨大な電波望遠鏡「アルマ」が、南米チリの高原に建設された。その国際プロジェクトを率いてきた1人、井口聖氏。小さいときから抱いてきた「電波天文学者になりたい」という思いをどう実現してきたのだろうか。
2013年11月号
羽ばたき1回当たり40コマという超高速X線ムービーを記録することで、昆虫飛翔筋が脊椎動物の筋肉と同じ分子メカニズムを利用して動いていることが示唆された。
2013年10月号
2013年夏、有人潜水調査船「しんかい6500」に乗り込み、水深5000mの海底から熱水域の探査現場をWeb中継した高井 研氏。深海、地殻、宇宙と高井氏の探検フィールドは広いが、そうした極限環境にすむ微生物を調べる彼の研究はどこから始まった?
2013年9月号
「自分の知らない世界を見てみよう」──配置転換に動揺した気持ちをそう思って立て直したときに、発見への新たな扉が開いた。自己組織化という現象を有機合成分野に取り入れ、化学の常識を覆した藤田誠氏。「あちらこちらと転がりながら進んできた」研究人生だったと振り返る。日本IBM科学賞、江崎玲於奈賞などを受賞。
2013年7月号
マウスにおいて、膵臓のインスリン分泌細胞の増殖を促進する新規ホルモンが発見された。ここから糖尿病の新しい治療法が生まれる期待が高まっている。
2013年7月号
生命科学論文の品質を高めるため、Natureは2013年5月から新しい編集方針を導入する。まず、「研究の方法論」が詳細に記載されるよう改革する。また、データをまとめたり解釈したりする「統計手法」が、明確に表現されるよう改革する。
2013年7月号
進むべき道筋をしっかりと見定め、計画的に走り出す。それが高橋政代氏流のやり方だ。眼科医、妻、母親の三役も、そうしてこなしてきた。網膜の再生研究に巡り会ってからは、治療法の開発が目標に。現在、iPS細胞を用いた世界初の臨床研究を申請中だ。
2013年5月号
宇宙の成り立ちを探る素粒子物理学者、村山斉氏。2012年には、「世界で活躍し『日本』を発信する日本人」の1人に選ばれた。思ったとおりの勉強ができずに悩んだこともあるという村山氏のターニングポイントは?
2013年3月号
太陽系に近いある星が、これまでに判明した中で最古の星であることがわかった。この星はビッグバンからまもなくの132億年前に誕生したが、第一世代の星ではなく、後の世代の星と考えられる。
2012年12月号
幹細胞(ES細胞とiPS細胞)から実験室で卵母細胞が作製された。卵子に成熟させることにも成功し、人工受精で誕生した仔マウスには繁殖能力もある。
2012年9月号
ヒッグス粒子がとうとう発見された。しかし、この粒子のスピンの値を確定したり、約125GeVという質量と整合性のある理論を導いたり、解決しなければならない課題は山積みとなっている。
2012年5月号別冊
観測史上最大規模の地震、その後発生した大津波、そして原子力発電所事故。この未曾有の複合災害から見えてくることが、復興と次なる大災害に備えるための道しるべになる。
2012年4月号
H5N1インフルエンザウイルスを哺乳類の間で感染できるよう適応させた研究に関する2本の論文に対し、米国のバイオセキュリティーに関する国家科学諮問委員会(NSABB)が、手順などいくつかの詳細な情報を差し控えて公表すべきだとする勧告を出した1。1つは、ウィスコンシン大学マディソン校(米国)および東京大学医科学研究所(東京都港区)に所属する河岡義裕の研究チームの論文で、赤血球凝集素(HA)の型の1つであるH5と、過去にパンデミックを起こしたヒトH1N1ウイルス由来の遺伝子群とを組み合わせたウイルスを作製したところ、ウイルスが哺乳類であるフェレットの間で飛沫感染するようになったことを示している2。もう1つは、エラスムス医療センター(オランダ・ロッテルダム)のRon Fouchierの研究チームの論文で、高病原性鳥インフルエンザH5N1ウイルスを哺乳類に感染できるようにする適応実験の結果を報告している3。Natureは、NSABBの厳しい勧告に際して方針を決定するため、NSABBに、河岡チームの論文に関して今回の結論に至った理由の説明を求めた。これに対し、NSABBの委員長代理であるPaul S. Keimが同委員会の意見をまとめ、回答を寄せた。
2012年1月号
ノルウェーの研究チームにより、 新たに福島第一原発事故で大気中に放出された放射性物質の総量が計算され、 政府が6月に発表した推定放出量よりもずっと多いという報告があった。
2011年6月号
損傷した福島第一原子力発電所から海への放射性物質の流出が続いている。生態系への影響を見極めるには、できるだけ早い時期に広い範囲で海洋調査を実施する必要があるだろう。
2011年6月号
チェルノブイリ原子力発電所の事故から25年。現地では今もなお除染作業が続いているが、健康被害の研究は十分とは言いがたい状況にある。日本はチェルノブイリから何を学ぶことができるだろう?
主に手を取るのは寝る前と休憩時ですね。冊子版やスマートフォンでNature ダイジェスト の記事をみるのが日課になっています。
基本的には化学系の学生といえど、元々科学(サイエンス)が好きな子ばかりであると思うので、若い学生ほどよく読んでいる気がします。
平易な日本語で科学分野の最新情報が記載されていて、大変読みやすい。自分の専門分野以外の情報を短時間で得ることができる。
山口潤一郎
早稲田大学 理工学術院先進理工学部
山口潤一郎研究室 准教授
Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778