遺伝学:妊娠喪失に関連する染色体異常の遺伝子多様
Nature
2026年1月22日
一般的な遺伝子多様体は、染色体数の異常(異数性〔aneuploidy〕と呼ばれる現象)のリスクに影響を与えることを報告する論文が、Nature にオープンアクセスで掲載される。異数性は、妊娠喪失の主要な原因である。この発見は、異数性リスクの根底にある遺伝的要因をより完全に理解させるものであり、この知見の応用可能性を評価するにはさらなる研究が必要である。
異数性は、ヒトの妊娠喪失の主要な原因である。これらの染色体異常は、卵子を生成する細胞分裂過程である女性の減数分裂における染色体の誤分配から生じることが多い。これまでの研究では、交差型組換え(crossover recombination)と呼ばれる、精子や卵子形成時のDNA交換におけるエラーが異数性のリスク要因となり得ることが示唆されていた。しかし、減数分裂起源の異数性および組換えの両方に関連する共通の遺伝子多様体は、ヒトにおいていまだに同定されていなかった。
Rajiv McCoyら(ジョンズ・ホプキンズ大学〔米国〕)、体外受精胚の着床前遺伝子検査から得られた臨床データを用い、大規模な減数分裂交差型イベントのマッピングと関連する遺伝子多様体の特定を行った。13万9416個の胚および2万2850組の生体親の分析により、380万件以上の交差型組換え事象が明らかになった。9万2485の異数性染色体が特定された(4万1480個の胚内)。著者らは、異数性胚では通常の胚に比べて交差数が少ないことを発見し、染色体の適切な分離を促進するこれらの事象の役割を実証した。減数分裂中に染色体を結合させるタンパク質をコードするSMC1B(Structural Maintenance Of Chromosomes 1B;染色体構造維持タンパク質)の多様体が、交差回数の減少および母系減数分裂異数性の増加の両方に関連していることが判明した。さらに解析を進めた結果、組換え過程に関与するほかの複数の遺伝子、具体的にはC14orf39(Chromosome 14 Open Reading Frame 39;第14染色体オープンリーディングフレーム39)、CCNB1IP1(Cyclin B1 Interacting Protein 1;サイクリンB1−相互作用タンパク質)、およびRNF212(Ring Finger Protein 212;リングフィンガー・タンパク質212)の多様体も関与していることが示唆された。
本研究は、異数性リスクに影響する共通の遺伝的要因に関する新たな知見を提供するとともに、有性生殖過程における組換えの重要性を明らかにしている。
- Article
- Open access
- Published: 21 January 2026
Carioscia, S.A., Biddanda, A., Starostik, M.R. et al. Common variation in meiosis genes shapes human recombination and aneuploidy. Nature (2026). https://doi.org/10.1038/s41586-025-09964-2
doi:10.1038/s41586-025-09964-2
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
考古学:インドネシアで発見された最古の岩絵Nature
-
遺伝学:妊娠喪失に関連する染色体異常の遺伝子多様Nature
-
進化:アファール地方の絶滅したホミニンNature
-
環境:地球規模の大気中マイクロプラスチック排出量の調査Nature
-
ロボット工学:便利な手を持つロボットは這い回り、物を拾い上げることができるNature Communications
-
神経科学:脳のトレーニングは免疫システムを高めるのに役立つかもしれないNature Medicine
