行動科学コミュニティーのためのNature 関連誌として、オンライン限定ジャーナルNature Human Behaviour を2017年1月に創刊しました。
Nature Human Behaviour は、社会科学と自然科学の幅広い領域から、人間行動の心理的・生物的・社会的基盤だけでなく、その起源、発達、障害も含めたあらゆる側面に関する、重要な研究論文を掲載します。扱うテーマは行動科学の全域にわたり、知覚、行動、記憶、学習、報酬、判断、意思決定、言語、コミュニケーション、情動、人格、社会的認知、社会的行動、政治的行動、信念体系、社会規範、社会構造、集合認知、集合行動、文化などが含まれます。
Nature Human Behaviour では、原著研究論文に加えて、人間行動に関する研究分野全体をカバーするReview、Perspective、Comment、News、Feature、Correspondenceも掲載します。
Time-dependent competition between goal-directed and habitual response preparation
掲載
ヒトの行動にみられる習慣は、トリガーに反応する行動の自動的な準備からなることが示された。人間は学習により習慣をコントロールして異なる行動反応をすることができるが、時間的に制約のある状況では、習慣的な反応が再び現れる。
Default network and frontoparietal control network theta connectivity supports internal attention
掲載
デフォルトネットワークと、最近同定された前頭頭頂制御ネットワークのサブシステムとの結合は、外界ではなく自分自身の思考に注意を向けるときに重要な役割を果たしていることが頭蓋内記録から明らかとなった。
GWAS of smoking behaviour in 165,436 Japanese people reveals seven new loci and shared genetic architecture
Nature Human Behaviour
掲載
Nature Human Behaviour 3, 3 | doi: 10.1038/s41562-019-0557-y (2012)
Social learning strategies regulate the wisdom and madness of interactive crowds
Nature Human Behaviour
掲載
Nature Human Behaviour 3, 1 | doi: 10.1038/s41562-018-0518-x (2012)
高木 敦士氏
ヒトとヒトとの間では、感覚受容器を介し、さまざまな情報交換がなされている。交換される情報のうち力に着目し、それがヒトの動作や行動に及ぼす影響を研究しているのが、東京工業大学の高木敦士さんたちのグループだ。これまでの研究から、運動学習を行うときに、2人をゴムなどで連結して互いの力を情報交換しながら行わせると、1人で学ぶよりも学習効率が上がるという実験結果が得られている。なぜ学習効率が上がるのだろうか。今回、その仕組みを解析して、コンピューター・シミュレーションによる再現に成功し、Nature Human Behaviour 3月号に発表した。
鹿子木 康弘氏、開 一夫氏
アンパンマンやスーパーマンなど、アニメーションや映画では多くのヒーローが登場し、現実社会においても正義の行為は賞賛の対象となる。しかしながら、発達のどのような時期から正義概念を肯定し始めるのかはわかっていなかった。このほど、京都大学大学院教育学研究科の鹿子木康弘特定助教(現、NTTコミュニケーション科学基礎研究所/日本学術振興会)らは、言語獲得前の6か月児に正義の行為を肯定する傾向がみられることを突き止め、Nature Human Behaviour 2月号に発表した。
開催
音楽と科学。どちらかといえば対照的な2つの専門分野だろう。あまり接点もなさそうだが、本当にそうだろうか。両者が交わることで化学反応が生じ、新たな発見や創造のチャンスが広がったりしないだろうか。第19回Nature Caféでは東京藝術大学に場を借りて、音楽家と科学者が一堂に会し、このような可能性を議論した。