Nature Sustainability
Nature Sustainability では、水・大気・土壌の汚染、農業と食糧安全保障、水とエネルギーと土地のネクサス(連鎖関係)、水と土壌と廃棄物のネクサス、気候変動、土地利用変化、天然資源の減少、廃棄物、循環経済、生態系サービス、生物多様性の保全、自然資本、開発政策、環境政策、環境悪化、持続可能エネルギー、都市化、人口動態、貧困緩和、公衆衛生、持続可能な消費、持続可能な都市、持続可能なサプライチェーン、グリーンインフラストラクチャー、技術革新などの話題を紹介します。
Nature Sustainability では未発表の研究論文だけでなく、サステナビリティーに関連するあらゆる分野から寄せられたComment、Reviews、Perspectives、News & Views、Features、Correspondenceを掲載します。
最新Research

農業の拡大による生息地の喪失を防ぐための積極的な保全
Proactive conservation to prevent habitat losses to agricultural expansion
掲載
食料、繊維、バイオ燃料の生産を目的とする農業の拡大は、これまで以上に生物多様性を脅かすことになる。この研究から、陸生脊椎動物種の90%近くが農業の拡大によって生息地を失うことになるが、積極的な食糧政策によってこれらの脅威を軽減できる可能性があることが分かった。
Nature Sustainability注目のハイライト
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保全:農業の拡大によって2050年までに生物多様性が広範に低下する可能性
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環境:中国では、COVID-19関連のロックダウンによって大気の質が改善した
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持続可能性:電気自動車と家庭暖房の気候への正味の恩恵
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【公衆衛生】北京における「稽留流産」の妊娠と大気汚染の関連
著者インタビュー

温暖化対策では飢餓リスク抑制にも考慮を
近年、常態化してしまった連日の猛暑日。地球温暖化がその原因の1つといわれる。世界気象機関によると、2018年の世界の平均気温は産業革命前より1℃高い14.68℃だったという。このため温暖化対策は急務であり、2015年に採択されたパリ協定では、「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」とされた。だが、気温抑制の側面だけで対策を進めると、発展途上国において飢餓リスクが高まるという。このほど、京都大学大学院工学研究科准教授の藤森真一郎さん、立命館大学理工学部准教授の長谷川知子さんらを中心とする国際研究チームが、こうした飢餓リスクは世界全体のGDPのわずか0.18%程度の対策費用で回避できることを示し、Nature Sustainability 5月号に発表した。

全ての人に安全な水を
私たちが当たり前のように手にしている水道水。こうした手軽で安価、安全な水は、感染症を防ぎ、子どもに学校に行く機会を与え、生活の向上や女性の社会進出につながる。国連機関でもこの50年、いろいろ取り組んできた。その1つが2000年に採択されたミレニアム開発目標(MDGs)の7C「2015年までに、安全な飲料水と基礎的な衛生設備を継続的に利用できない人々の割合を半減させる」だ。この目標はMDGsの中でもいち早く達成された。今回、(株)TECインターナショナルの福田紫瑞紀(ふくだしずき)さん、東京大学教授で国際連合大学上級副学長の沖大幹(おきたいかん)さん、岐阜大学助教の乃田啓吾(のだけいご)さんが、水目標達成の背景を明らかにし、Nature Sustainability 5月号に発表した。持続可能な開発目標(SDGs)など今後の国際開発目標に取り組む上でも、非常に興味深い論文である。
おすすめのコンテンツ

世界の国々の生活満足度、不平等感、エネルギー費用負担
Multinational life satisfaction, perceived inequality and energy affordability
Nature Sustainability
掲載
Nature Sustainability 2, 6 | doi: 10.1038/s41893-019-0303-5 (2012)

気候変動緩和策が食糧安全保障に及ぼす影響の複数モデルによる評価
A multi-model assessment of food security implications of climate change mitigation
Nature Sustainability
掲載
Nature Sustainability 2, 5 | doi: 10.1038/s41893-019-0286-2 (2012)
コレクション

ブラジルの環境政策
2018年11月
過去の成功にも関わらず、ブラジルは海洋生態系や陸上生態系の劣化、生物多様性の保全、貧困と不平等といった環境的課題や社会的課題に未だに直面している。ここでは、ブラジルにおける環境政策や持続可能な政策について、現在継続中の政策論議に関係する研究論文やOpinion論文を一堂に集めた。
イベントレポート

サステイナビリティ研究が拓く持続可能な未来 — 科学と社会の連携でSDGs達成を目指す
2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)。2016〜2030年の15年間で17の目標の達成を目指す。そのために、学際的なサステイナビリティ研究が果たす役割は何か。2018年9月20日、国連大学(東京・渋谷)で、本タイトルの下、多分野の専門家が集まり熱心な議論が行われた。このイベントは、最先端のサステイナビリティ研究を掲載するNature Sustainability が、2018年1月に創刊されたのを機に企画された。
Implementing Solutions for the SDG’s: The Role of Sustainability Research