Nature

Cover Story: 脳の細胞状態を捉える:前頭前皮質のアトラスが老化と疾患を探る道を開く

Nature 657, 8133 (2026年9月24日)

ヒトの脳は、機能の多様な数十億個もの細胞から構成されており、この複雑さのために、脳が老化したり疾患に侵されたりする際に何が起こっているかを理解することは極めて難しい。今週号ではPsychADコンソーシアムが、前頭前皮質の単一細胞トランスクリプトームアトラスによって、ヒトの脳を理解するための窓を開いている。前頭前皮質は、意思決定、自己制御、感情に深く関わっており、その機能不全は、精神疾患やアルツハイマー病などの変性疾患との関連が指摘されている。このアトラスには、疾患の診断を受けていない人々の他、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症などの患者を含む、1494人の脳に由来する630万個を超える細胞核が収録されている。本号の3報の論文のうち、最初の論文では、同コンソーシアムがアトラスの全容を示し、特にアルツハイマー病に重点を置いて、8つの疾患に関連する遺伝子発現パターンを明らかにしている。2報目では、疾患の徴候がない脳のデータを用い、乳児期から成人期後期にわたる前頭前皮質の細胞特異的なRNA発現のアトラスを作成したことが報告されている。3報目では、単一核トランスクリプトーム解析によって、脳疾患の遺伝的リスクが特定の細胞タイプにどのように影響するのかがマッピングされている。これらの研究は、他のNature関連誌で同時に発表される一連の論文と共に、脳の老化と疾患を探究するための新たな道を開く。

今週の目次とハイライト The Nature Top Ten バックナンバー

Nature注目のハイライト

その他のハイライト

Nature 創刊150周年記念特集

Nature ダイジェスト

Nature は次に何をすべきか

2020年4月号

Nature が150周年を迎えたのを機に、その価値観と、Nature を改善する方法について考えることにした私たちは、読者の意見をどうしても聞きたくて、アンケート調査を実施しました。

イベントレポート

日本の科学の未来
― 持続可能な開発目標の達成に向けたビジョン ―

1869年創刊のNature は今年150周年を迎える。これを記念するシンポジウムが東京大学安田講堂で開催され、日本の科学のトップランナーである大隅良典氏、柳沢正史氏や、Nature 編集長のMagdalena Skipperらが集った。日本の科学の未来を各氏はどう見ているか。自らの研究や体験をもとに語り、意見が交換された。

Nature 創刊150周年記念特集

著者インタビュー

柳沢 正史氏

「私」とNature  混沌状態をすっきりさせるような研究が好き

長田 重一氏

長田重一大阪大学免疫学フロンティア研究センター教授は、アポトーシス(プログラム細胞死)の分子メカニズムの解明など、すばらしい業績を残してきた。いくつもの論文が引用ランキングに並ぶ。その始まりは、1980年に成功したインターフェロンα遺伝子のクローニングだった。

柳沢 正史氏

「私」とNature  “ねむけ”の謎を解明したい

柳沢 正史氏

筑波大学大学院時代に見つけた血管収縮物質が世界の研究者の注目を集め、米国テキサス大学にスカウトされて1991年に渡米。後を追って留学してきた後輩の櫻井武(現・筑波大学 国際統合睡眠医学科研究機構;IIIS)とともにオレキシンを発見する。この脳内の神経伝達物質が睡眠と覚醒に関係していることから、本格的に睡眠学の研究を開始。現在IIISを主宰して、「ねむけとは何か」の解明を目指している。

その他のNature 著者インタビュー

Nature Café

ネイチャー・リサーチが主催するサイエンスカフェです。グローバルな視点から様々な分野のサイエンスについて、カジュアルな雰囲気の中、一緒に語り合います。

その他のイベント

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