Nature

Cover Story: バイキングの旅路:ゲノム塩基配列から描き出された大昔の船旅の地図

Nature 585, 7825 (2020年9月17日)

表紙は、世界最大級のバイキング復元船『シー・スタリオン号』である。バイキング時代(紀元750~1050年頃)におけるスカンジナビア人集団の海洋進出は、ヨーロッパの政治地図、文化地図、人口地図を一変させた。今回E Willerslevたちは、この期間のゲノム史を調べている。彼らは、ヨーロッパおよびグリーンランド各地の考古学的遺跡に由来する、青銅器時代(紀元前2400年頃)から近世(紀元1600年頃)までの442個体のゲノム塩基配列を解読した。その結果、スカンジナビアでは南方と東方からかなりの遺伝子流動があったことが見いだされた。また、大陸各地でのバイキングの異なる移動の様子も明らかになった。すなわち、デンマークのバイキングはイングランドへ向かい、スウェーデンのバイキングは東へ進んでバルト地域へ行き、ノルウェーのバイキングはアイルランド、アイスランド、グリーンランドへ移動し、その一方でスカンジナビアへも新たな人々が西方から流入していたのである。さらに著者たちは、エストニアのサルメにあるバイキングの墓地遺跡から出土した34個体のゲノム塩基配列を解読し、4人の兄弟が並んで埋葬されているのを発見した。数百キロメートル離れた場所ではこの家族の近縁者も発見されており、バイキング時代を特徴付ける集団の移動性が浮き彫りになった。

今週の目次とハイライト

The Nature Top Ten

バックナンバー

Nature 創刊150周年記念特集

Nature ダイジェスト

Nature は次に何をすべきか

2020年4月号

Nature が150周年を迎えたのを機に、その価値観と、Nature を改善する方法について考えることにした私たちは、読者の意見をどうしても聞きたくて、アンケート調査を実施しました。

イベントレポート

日本の科学の未来
― 持続可能な開発目標の達成に向けたビジョン ―

1869年創刊のNature は今年150周年を迎える。これを記念するシンポジウムが東京大学安田講堂で開催され、日本の科学のトップランナーである大隅良典氏、柳沢正史氏や、Nature 編集長のMagdalena Skipperらが集った。日本の科学の未来を各氏はどう見ているか。自らの研究や体験をもとに語り、意見が交換された。

Nature 創刊150周年記念特集

Nature 著者インタビュー

柳沢 正史氏

「私」とNature
 混沌状態をすっきりさせるような研究が好き

長田 重一氏

長田重一大阪大学免疫学フロンティア研究センター教授は、アポトーシス(プログラム細胞死)の分子メカニズムの解明など、すばらしい業績を残してきた。いくつもの論文が引用ランキングに並ぶ。その始まりは、1980年に成功したインターフェロンα遺伝子のクローニングだった。

柳沢 正史氏

「私」とNature
 “ねむけ”の謎を解明したい

柳沢 正史氏

筑波大学大学院時代に見つけた血管収縮物質が世界の研究者の注目を集め、米国テキサス大学にスカウトされて1991年に渡米。後を追って留学してきた後輩の櫻井武(現・筑波大学 国際統合睡眠医学科研究機構;IIIS)とともにオレキシンを発見する。この脳内の神経伝達物質が睡眠と覚醒に関係していることから、本格的に睡眠学の研究を開始。現在IIISを主宰して、「ねむけとは何か」の解明を目指している。

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