Nature

Cover Story: 類人猿ゲノム比較の成果:6種の類人猿の全ゲノム塩基配列によってヒトの進化への洞察がもたらされた

Nature 641, 8062 (2025年5月8日)

ヒトゲノムが解読されて以来、比較のために、ヒトに最も近縁な霊長類のゲノムを解読する取り組みが続けられてきた。しかし、そうした類人猿のゲノムは巨大で反復配列を多く含むために解読が困難で、ヒトと類人猿の進化を比較する研究が制限されてきた。今回、E Eichlerたちがこの空白を埋めるべく、類人猿の主要な6系統を代表する種、すなわちチンパンジー(Pan troglodytes)、ボノボ(Pan paniscus)、ゴリラ(Gorilla gorilla、表紙画像)、ボルネオオランウータン(Pongo pygmaeus)、スマトラオランウータン(Pongo abelii)、フクロテナガザル(Symphalangus syndactylus)の、ほぼ100%完全なゲノム塩基配列を提示している。これらの新たな塩基配列は、最近得られたヒトの完全なゲノム塩基配列と同等の品質で、これにより、セントロメアなど従来アクセスできなかった領域の解析が可能になり、新規の系統特異的遺伝子が明らかになった。研究者たちは、これら6例のゲノムが今後のヒトと類人猿の進化研究の基盤になると述べている。

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Nature注目のハイライト

その他のハイライト

Nature 創刊150周年記念特集

Nature ダイジェスト

Nature は次に何をすべきか

2020年4月号

Nature が150周年を迎えたのを機に、その価値観と、Nature を改善する方法について考えることにした私たちは、読者の意見をどうしても聞きたくて、アンケート調査を実施しました。

イベントレポート

日本の科学の未来
― 持続可能な開発目標の達成に向けたビジョン ―

1869年創刊のNature は今年150周年を迎える。これを記念するシンポジウムが東京大学安田講堂で開催され、日本の科学のトップランナーである大隅良典氏、柳沢正史氏や、Nature 編集長のMagdalena Skipperらが集った。日本の科学の未来を各氏はどう見ているか。自らの研究や体験をもとに語り、意見が交換された。

Nature 創刊150周年記念特集

著者インタビュー

柳沢 正史氏

「私」とNature  混沌状態をすっきりさせるような研究が好き

長田 重一氏

長田重一大阪大学免疫学フロンティア研究センター教授は、アポトーシス(プログラム細胞死)の分子メカニズムの解明など、すばらしい業績を残してきた。いくつもの論文が引用ランキングに並ぶ。その始まりは、1980年に成功したインターフェロンα遺伝子のクローニングだった。

柳沢 正史氏

「私」とNature  “ねむけ”の謎を解明したい

柳沢 正史氏

筑波大学大学院時代に見つけた血管収縮物質が世界の研究者の注目を集め、米国テキサス大学にスカウトされて1991年に渡米。後を追って留学してきた後輩の櫻井武(現・筑波大学 国際統合睡眠医学科研究機構;IIIS)とともにオレキシンを発見する。この脳内の神経伝達物質が睡眠と覚醒に関係していることから、本格的に睡眠学の研究を開始。現在IIISを主宰して、「ねむけとは何か」の解明を目指している。

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