進化:多細胞化への複数の道筋
Nature
2026年2月26日
単細胞の小さな水生生物は、3つの異なる経路を通じて多細胞生物へと変化しうることを報告する論文が、Nature にオープンアクセスで掲載される。この発見は、多細胞生物の起源に関する新たな知見をもたらし、これまで認識されていなかった柔軟性を示唆している。
多細胞生物は、多くの細胞から構成される。単純な生物では、類似した細胞で、より複雑な生物では、多様な細胞タイプで構成される。多細胞化は、独立して何度も進化しており、これまでに2つの異なる経路が知られている。第一の経路では、単細胞生物がクローン分裂により、遺伝的に同一の細胞からなる多細胞構造を形成する。第二の経路では、異なる単細胞生物が集まって遺伝的に多様な細胞からなる多細胞構造を形成する。これら二つの経路は、ほぼ常に互いに排他的であると考えられてきたが、Thibaut Brunetら(パスツール研究所〔フランス〕)はこの概念に異議を唱えている。
著者らは、カリブ海のキュラソー島(Curaçao)沿岸に形成される一時的な水たまりで、単細胞形態と多細胞形態の両方で存在可能な小型水生生物である襟鞭毛虫(choanoflagellate)の一種、Choanoeca flexaを研究した。水たまりが蒸発と再充填を繰り返す過程で、C. flexaは単細胞形態と多細胞形態の間を行き来する。このサイクルにおいて、多細胞化はクローン分裂、集合体形成、あるいは両過程の組み合わせによって生じた。著者らは、この混合的な過程が、水たまりが蒸発と再充填を繰り返すことで塩分濃度が極端に変動する、刻々と変化する水たまり環境への適応である可能性を示唆している。
著者らは、襟鞭毛虫が動物の近縁種であることから、C. flexaは多細胞性を研究する有望なモデルであると指摘している。本研究は、単純な多細胞化への道筋が従来考えられていたよりも柔軟であることを明らかにしたことで、この生物学的な遷移の起源に関するこれまでの見解に疑問を投げかける可能性があると、同時掲載されるNews & ViewsでJaruwatana Sodai LotharukpongとSusana Coelhoは述べている。
- Article
- Open access
- Published: 25 February 2026
Ros-Rocher, N., Reyes-Rivera, J., Horo, U. et al. Clonal-aggregative multicellularity tuned by salinity in a choanoflagellate. Nature (2026). https://doi.org/10.1038/s41586-026-10137-y
News & Views: Flexible paths to multicellularity
https://www.nature.com/articles/d41586-026-00292-7
doi:10.1038/s41586-026-10137-y
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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