進化:古代の蚊は初期のホミニンを好むようになった
Scientific Reports
2026年2月27日
マラリアを媒介する蚊を含む、アノフェレス・レウコスフィルス(Anopheles leucosphyrus、Leucosphyrus)群の一部が人間を好んで吸血する習性は、約180万年前に東南アジアに初期のホミニン(hominins)が到達したことに応じて進化したかもしれない。この発見を報告する論文が、オープンアクセスジャーナルScientific Reports に掲載される。
ヒトを吸血対象とする傾向は、既知の3500種の蚊の中では珍しい。しかし、この摂食嗜好こそが、蚊が病原体を媒介する可能性に影響する主要因である。
Upasana Shyamsunder Singh(バンダービルト大学〔米国〕)とCatherine Walton(マンチェスター大学〔英国〕)らは、1992年から2020年に東南アジアで採取されたレウコスフィルス群に属する11種38匹の蚊のDNAを解読した。これらの配列データ、コンピューターモデル、およびDNA変異率の推定値を用いて、これらの種の進化史を再構築した。著者らは、ヒトを吸血対象とする嗜好性が、290万年から160万年前にかけて、スンダランド(Sundaland)と呼ばれる地域(マレー半島、ボルネオ島、スマトラ島、およびジャワ島を含む)において、レウコスフィルスで一度だけ進化したと推定している。それ以前は、当該群の祖先は非ヒト霊長類を吸血していた。この時期は、約180万年前にホミニンの一種であるホモ・エレクトス(Homo erectus)が同地域に到達したとされる最も古い時期と重なり、約7万6000年から6万3000年前に現代人が到達するより前のことである。また、アフリカにおける主要なマラリア媒介蚊であるガンビエハマダラカ(Anopheles gambiae)やコルッツィハマダラカ(Anopheles coluzzii)を生み出した蚊の系統が、50万9000年から6万1000年前にかけてヒトを好んで吸血する習性を獲得したとされる従来の推定時期よりも古い。
これまでの研究では、蚊の摂食嗜好の変化には、体臭を感知する受容体をコードする遺伝子の複数回の変化が必要だと示唆されてきた。著者らは、レウコスフィルスがヒトの体臭を好むようになった進化には、約180万年前にスンダランドにホモ・エレクトスが相当数存在していたことが必要だった可能性を提唱している。著者らは、この発見が東南アジアへの初期のホミニンの到達に関する限られた化石記録を裏づける、考古学以外の独立した証拠を提供すると結論づけている。
- Article
- Open access
- Published: 26 February 2026
Singh, U.S., Harbach, R.E., Hii, J. et al. Early hominin arrival in Southeast Asia triggered the evolution of major human malaria vectors. Sci Rep 16, 6973 (2026). https://doi.org/10.1038/s41598-026-35456-y
doi:10.1038/s41598-026-35456-y
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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