生態学:ミイラ化したチーターの発見が同種のアラビア半島への再導入に希望をもたらす
Communications Earth & Environment
2026年1月16日
サウジアラビア北部の洞窟で自然ミイラ化したチーター(Acinonyx jubatus)7体が発見された。この発見は、絶滅危惧種のチーターがアラビア半島で地域絶滅する前に、少なくとも2つの亜種が生息していたことを示している。オープンアクセスジャーナルCommunications Earth & Environment に掲載されるこの発見は、チーターを半島に再導入する新たな可能性を開くかもしれない。
チーターは、かつてアフリカの大部分および西と南アジアに生息していたが、現在では歴史的生息域のわずか9%にしか生息していない。アジアでは、生息域が98%減少しており、アラビア半島では1970年代以降に地域絶滅したと考えられていた。チーターには、5亜種が存在するが、サウジアラビアに生息していたとされたアジアチーター(Acinonyx jubatus venaticus)は絶滅危惧種に指定され、イランにわずかな野生個体群が残るのみである。このため、半島への再導入の実現可能性は議論の的となっていた。
2022年から2023年にかけ、Ahmed Bougら(国立野生生物センター(NCW)〔サウジアラビア〕)は、サウジアラビア北部アラール(Arar)市近郊の5つの洞窟で、自然ミイラ化したチーター7体と、さらに54体の猫科動物の骨格遺骸を発見した。著者らは、ミイラ標本2体と骨格遺骸5組のサンプルを年代測定した。最も古い骨格遺骸は、約4,000年前のもので、ミイラ化した遺骸は約130年前と約1,870年前のものと推定される。また、著者らは、7体の標本のうち3体から完全なゲノム配列を抽出した。自然ミイラ化した大型ネコ科動物でこれが実施されたのは初めてである。最も新しい標本は遺伝的にアジアチーターに最も近いが、2体の古いチーター(年代測定された最古の標体を含む)は北西アフリカチーター(Acinonyx jubatus hecki)に最も類似していた。
著者らは、この結果がアジアチーター以外の亜種がサウジアラビアにおけるチーター再導入を支え得ることを示していると述べる。利用可能な遺伝子プールが増えることで、野生復帰の取り組みがより実現可能になるからである。また、著者らの手法は、類似標本からの古代DNA記録がほかの種の将来的な再導入計画にも活用できる可能性があると提案している。
シュプリンガーネイチャーは、国連の持続可能な開発目標(SDGs;Sustainable Development Goals)、および当社のジャーナルや書籍で出版された関連情報やエビデンスの認知度を高めることに尽力しています。本プレスリリースで紹介する研究は、SDG 15(陸の豊かさも守ろう)に関連しています。詳細は、「SDGs and Springer Nature press releases」をご覧ください。
- Article
- Open access
- Published: 15 January 2026
Boug, A.A., Mir, Z.R., Jbour, S. et al. Mummified cave cheetahs inform rewilding actions in Saudi Arabia. Commun Earth Environ 7, 24 (2026). https://doi.org/10.1038/s43247-025-03021-6
doi:10.1038/s43247-025-03021-6
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