環境科学:海洋における地下マイクロプラスチックの分布
Nature
2025年5月1日
海洋におけるマイクロプラスチックの分布と挙動は、その大きさに影響され、一部のマイクロプラスチックは炭素循環に入り込む可能性がある。海洋深度にわたるマイクロプラスチックの分布が調査され、その結果を報告する論文が、Nature にオープンアクセスで掲載される。100マイクロメートルから5,000マイクロメートルの大きなマイクロプラスチックは成層によってより効果的に捕捉されるが、100マイクロメートルより小さなマイクロプラスチックはより均一に分布し、水柱中での寿命が長い。この結果は、プラスチックが環境に与える影響を軽減するための効果的な戦略を策定するために、マイクロプラスチックの分布を研究する重要性を明らかにしている。
マイクロプラスチックは、海洋全域で広く記録されているが、マイクロプラスチックに関する多くの研究は、海面の上部50センチメートルしかサンプリングしていない。Shiye Zhao(ジヤオ シイエ;海洋研究開発機構)らは、2014年から2024年にかけて、世界の海洋の1,885の記録ステーションから得られた深度プロファイルデータを統合し、深度におけるマイクロプラスチックの濃度と挙動を評価した。これらのデータは、例えば、マイクロプラスチックが海洋で循環する炭素の測定可能な割合を構成している可能性を示唆しており、水深30メートルでの炭素の0.1%から水深2,000メートルでは5%に増加する。深海では一貫して高いマイクロプラスチック量が観察され、大西洋の水深100–270メートルでは1立方メートルあたり1,100個以上、北太平洋亜熱帯循環の水深2,000メートルでは1立方メートルあたり600個、マリアナ海溝の水深6,800メートルでは、1立方メートルあたり13,500個のマイクロプラスチックが検出された。
著者らは、この研究が標準化された手法の欠如が大きな不確実性を生み出し、海洋中のマイクロプラスチックの分布を明確に理解し、結論を導き出すことを困難にしていることを指摘している。
- Analysis
- Open access
- Published: 30 April 2025
Zhao, S., Kvale, K.F., Zhu, L. et al. The distribution of subsurface microplastics in the ocean. Nature 641, 51–61 (2025). https://doi.org/10.1038/s41586-025-08818-1
シュプリンガーネイチャーは、国連の持続可能な開発目標(SDGs;Sustainable Development Goals)、および当社のジャーナルや書籍で出版された関連情報やエビデンスの認知度を高めることに尽力しています。本プレスリリースで紹介する研究は、SDG 6 (安全な水とトイレを世界中に)、SDG 12(つくる責任、つかう責任)およびSDG 14(海の豊かさを守ろう)に関連しています。詳細は、「SDGs and Springer Nature press releases (https://press.springernature.com/sdgs/24645444 )」をご覧ください。
doi:10.1038/s41586-025-08818-1
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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