Research Press Release
大規模メタ解析による新たな知能関連遺伝子の同定
Nature Genetics
2017年5月23日
知能に関連する遺伝子が新たに40個同定された。この研究は、脳の機能と認知に関する新たな生物学的知見をもたらすとともに、知能指数の遺伝的要素を明確にするために役立つ可能性がある。
今回、Danielle Posthumaたちの研究グループは、ヨーロッパ系の約80,000人(小児コホートと成人コホートの両方が含まれる)を対象として、知能の測定値に関連する遺伝学的データを解析した〔知能に関するゲノムワイド関連解析(GWAS)のメタ解析〕。サンプルサイズが大きかったので、研究の検出力が上がり、多くの遺伝子を新たに同定することができた。
Posthumaたちはさらに、知能に寄与する特異的なゲノム領域を明らかにした。すなわち、GWAS解析により、知能に関連する22個の遺伝子(うち11個が新しい遺伝子)を同定し、GWGAS解析(ゲノムワイド遺伝子関連解析)により、29個の遺伝子を新たに同定した。これらの遺伝子は、主に脳内で発現し、細胞の発生経路に関与している。これらの情報は、知能および脳の発生・発達に関する研究において、集中的に調べるべき遺伝子と経路が何かを教えてくれるものである。
doi:10.1038/ng.3869
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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