注目の論文
キンシコウのゲノム解読
Nature Genetics
2014年11月3日
Genome of the golden snub-nosed monkey
絶滅危惧種に指定されたキンシコウ(Rhinopithecus roxellana)は、オナガザル科コロブス亜科に属する。このサルは、中国の南西部と中央部に生息し、葉、種子といった消化しにくい食物を主に食べている。コロブス亜科のサルは、こうした食性に対する適応として、ウシに似て、特化した複数の胃を持っており、この胃の中には、哺乳類が通常は消化できない植物化合物を分解できる細菌が生息している。
今回、M Liたちは、キンシコウとその近縁種に見られるこうした特殊な食性への適応過程についてさらに解明するため、キンシコウのゲノムの塩基配列決定を行った。その結果、キンシコウは、他の霊長類と比べて、毒性化合物を中和する唾液酵素をコードする遺伝子の数が多いことが分かった。また、複数の胃を持つキンシコウとウシにおいて急速に進化した2000以上の遺伝子も同定された。Liたちは、これらの遺伝子が、葉食に対する適応に関与した遺伝子候補である可能性が高いと述べている。Liたちがさらに、キンシコウの腸内細菌を調べたところ、細菌の種数はヒトに近いが、細菌型の構成はウシに近いことが判明した。
今回のゲノム解読により、ヒト以外の霊長類の食性適応の解明が進むことが期待される。
doi: 10.1038/ng.3137
注目の論文
-
5月29日
社会科学:研究テーマの変更は被引用数の減少につながるかもしれないNature
-
5月28日
古生物学:クジラの骨から作られた最古の道具の証拠Nature Communications
-
5月27日
生態学:世界的に過小評価されている外来種のコストNature Ecology & Evolution
-
5月22日
微生物学:効果的な新しい抗マラリア薬は寄生生物を標的とするNature
-
5月21日
医学:非接触型無線モニタリングによる心臓不整脈の検出Nature Communications
-
5月20日
人工知能:大規模な言語モデルは、オンライン討論において人間よりも説得力を持つことができるNature Human Behaviour