注目の論文
炎症を標的にして、肥満や糖尿病を治療
Nature Medicine
2013年2月11日
Targeting inflammation to treat obesity and diabetes
アンレキサノクスという薬は現在、日本では喘息の、米国では口腔内潰瘍の治療に使われているが、肥満や2型糖尿病の治療にも役立つとの報告が寄せられている。
肥満には軽度の炎症がともなうことが多く、それがインスリン抵抗性と2型糖尿病発症に寄与すると考えられている。Alan Saltielたちはin vitroでの大規模な化学物質スクリーニングによって、IKK-εとそれに良く類似したキナーゼTBK1とを阻害する低分子化合物を同定した。これら阻害剤の1つアンレキサノクスは、この2種類のキナーゼを比較的選択的に阻害することがわかった。またアンレキサノクスが、食餌性肥満と遺伝性肥満のマウスモデルでエネルギー消費を増加させ、体重を可逆的に減少させることも明らかになった。さらに、アンレキサノクスはこれらのマウスのインスリン感受性を改善し、脂肪肝を回復させた。これらの作用は脂肪組織の炎症の軽減をともなっており、またIKK-εとTBK1の発現に依存しているらしい。
アンレキサノクスはヒトで長く利用されており、安全性も高い。この薬を肥満や代謝合併症の治療に適応拡大するにはさらなる臨床研究が必要だが、拡大できれば臨床的に有望な治療の選択肢になるかもしれない。
doi: 10.1038/nm.3082
注目の論文
-
10月3日
神経科学:ショウジョウバエの脳の完全な地図Nature
-
9月26日
ウイルス学:牛のH5N1型インフルエンザは搾乳によって広がる可能性があるNature
-
9月26日
進化:哺乳類の顎関節の起源を調査するNature
-
9月24日
生態学:タコと魚の狩猟グループにおける共同リーダーシップNature Ecology & Evolution
-
9月19日
気候変動:将来の干ばつは予想以上に長期化する可能性Nature
-
9月17日
神経科学:妊娠に伴う脳の変化を調査するNature Neuroscience