注目の論文
風向きでマラリア伝播地域を突き止める
Nature Communications
2012年2月15日
Using wind direction to spot malaria transmission sites
マラリアを媒介するハマダラカの繁殖地の中でも、マラリア多発地域に近接し、その風下側にある繁殖地を狙い撃ちすることでマラリアの伝播を阻止できる可能性が浮上した。マラリア伝播を持続させるマラリア多発地域は、空間的疫学研究によって同定されており、したがって、こうした多発地域を狙い撃ちすることは、有効なマラリア防除法となる。しかし、幼虫の繁殖地の探索には多大な労力が必要となることがある。今回の研究は、幼虫の繁殖地の風上側の地域の方がマラリア原虫感染のリスクが高いと予測することで、繁殖地の捜索範囲を絞り込むうえで役立っている。詳細を報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。 今回、J Midegaたちは、ケニアのキリフィ地区で、ハマダラカ幼虫の繁殖地の空間的位置と農村部の子どもたちにおけるマラリア発生との関連を調べた。幼虫の繁殖地に最も近い世帯は、マラリアのリスクが高いことが知られている。Midegaたちは、雌のハマダラカが産卵後にヒト宿主を探して風上に向かって飛翔することを発見し、マラリア多発地域に近く、その風下側にあるマラリア媒介性ハマダラカ幼虫の繁殖地を狙い撃ちすることでマラリア防除の効果を高められる可能性があると結論づけた。
doi: 10.1038/ncomms1672
注目の論文
-
5月29日
社会科学:研究テーマの変更は被引用数の減少につながるかもしれないNature
-
5月28日
古生物学:クジラの骨から作られた最古の道具の証拠Nature Communications
-
5月27日
生態学:世界的に過小評価されている外来種のコストNature Ecology & Evolution
-
5月22日
微生物学:効果的な新しい抗マラリア薬は寄生生物を標的とするNature
-
5月21日
医学:非接触型無線モニタリングによる心臓不整脈の検出Nature Communications
-
5月20日
人工知能:大規模な言語モデルは、オンライン討論において人間よりも説得力を持つことができるNature Human Behaviour