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健康:パンデミックがイングランドの医薬品使用状況に変化をもたらしたかもしれない

Nature Health

2026年6月16日

Health: Pandemic may have reshaped England’s medication use

Nature Health

5200万人以上の国民を対象とした一次医療の処方データ分析により、イングランドにおける薬剤の処方パターンは、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)パンデミックの期間中およびその後に変化したことを報告する論文が、Nature Health にオープンアクセスで掲載される。心血管疾患や糖尿病の治療薬など、一部の薬剤の使用はパンデミック前の水準まで回復、あるいはそれを上回った一方、消化器疾患や精神疾患の治療薬など、そのほかの薬剤の使用は依然として低い水準にとどまっている。この知見は、医薬品データの連携が、医療提供経路の混乱や薬剤使用における不平等を研究者が監視するうえで役立つ可能性を示唆している。

薬剤の記録は、社会全体における医療提供の実態を追跡する手段となる。個人レベルの情報と連携させることで、これらのデータは、小児、高齢者、恵まれない地域社会、および民族グループ間の治療パターンの違いを明らかにすることができる。また、3か月間に5種類以上の異なる薬剤が処方される「多剤併用」を特定するのにも役立つ。これは、複数の慢性疾患を抱えていることを示す重要な指標である。

Reecha Sofatら(リバプール大学〔英国〕)は、2019年11月1日から2024年12月31日までのイングランドにおける一次医療での薬剤調剤を分析し、58億件に及ぶ調剤データを対象とした。胃腸疾患および精神疾患の薬剤の新規処方数は減少し、パンデミック前の水準を下回ったままだった。一方、心血管疾患および糖尿病の薬剤は当初減少したものの、その後パンデミック前の水準まで回復し、場合によってはそれを上回った。著者らは、また、性別、民族、および社会経済的困窮度による差異も確認した。たとえば、バングラデシュ系およびパキスタン系の民族グループでは、内分泌系や眼科用薬を含む一部の薬剤の処方率がより高く、60歳までに英国系、アイルランド系、またはそのほかの白人系グループの最大2.5倍に達した。また、最も困窮した層では、40歳時点で最も困窮度の低い層の最大2倍の処方率を示した。さらに、50歳時点で、人口の約15%が5種類以上の薬剤を同時に処方されており、70歳では42%に上昇した。

著者らは、この調査結果は、パンデミックによる診療プロセスの混乱と、薬剤使用における潜在的な不平等を浮き彫りにしていると結論づけている。また、医薬品インテリジェンス(連携データを用いて薬剤使用を追跡する手法)が、パンデミックからの回復、将来の備え、および健康格差の是正に向けた取り組みを支援し得ると示唆している。本研究の限界としては、データが一次医療での処方のみを対象としていること、因果関係を立証していないこと、また、民間医療機関での処方箋、市販薬、および多くの二次医療用医薬品など、一部の医薬品などが含まれていない点があげられる。

Dale, C.E., Takhar, R., Lambarth, A. et al. Patterns of medication use across society from national primary care dispensing data. Nat. Health (2026). https://doi.org/10.1038/s44360-026-00134-w
 

doi: 10.1038/s44360-026-00134-w

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