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環境:支出額上位10%の人々が毎年数兆ドル規模の環境被害を引き起こしている

Communications Sustainability

2026年6月19日

Environment: Top 10% of spenders responsible for trillions of dollars of environmental damage annually

Communications Sustainability

世界の支出額上位10%の人々は、毎年1.7兆~5.7兆米ドル(2017年時点の価値)に相当する環境被害を引き起こしていることを示す論文が、オープンアクセスジャーナルCommunications Sustainability に掲載される。著者らは、この推計の下限であっても、生物多様性の減少を食い止め、国連の気候変動資金目標を達成するために必要な資金額の合計を上回ると報告している。

これまでの研究では、支出額の多い個人(おおむね最も富裕な層に相当する)が、環境被害の中でも不釣り合いに大きな割合を占めていることが示されてきた。しかし、この割合が金額ベースで定量化されたことはこれまでなかった。

Inge Schrijver、Rutger Hoekstra(ライデン大学〔オランダ〕)、およびPaul Behrens(オックスフォード大学〔英国〕)は、世界全体および各大陸で最も富裕な国において、支出額上位10%の行動に起因する環境コストを推定した。著者らは、「Environmental Prices Handbook(環境価格ハンドブック)」にもとづき、2017年米ドル(入手可能な最新データ)で算出した金銭的価値を、さまざまな種類の環境被害に割り当てた。著者らの分析によると、世界全体では、支出額上位10%の人々が1人あたり年間2300~7500ドルのコストを生じさせており、これは世界規模で1.7~5.7兆ドルに相当する。米国では、上位10%の消費者が負う環境コストはさらに高く、1人あたり1万9000~6万3000ドルと推定され、この層の平均所得の平均所得の6~20%に相当する。しかし、エジプトでは推定損害額が1人あたり266~852ドルであり、環境被害の世界的な分布に不均衡があることが示された。

著者らの試算によると、推定された損害額はいずれも、2025年のCOP30(30th meeting of the Conference of the Parties〔COP〕to the UN Framework Convention on Climate Change〔UNFCCC〕;国連気候変動枠組条約第30回締約国会議)で合意された2035年の気候資金目標(9930億ドル)を達成するために必要な資金と、2030年までに生物多様性の減少を食い止めるために必要とされる追加資金(6570億ドル)を合わせた額を上回っている。著者らは、評価対象となったすべての消費者グループにおいて、生物多様性の損失と二酸化炭素排出量が、算出された損害額の主要因であり、その合計が総額の83~93%を占めていると指摘している。

したがって、著者らは、国レベルおよび世界レベルの両方で、支出額の上位層を慎重に対象化して対策を講じることで、環境被害と社会的不平等を軽減し、より持続可能な行動を促し、持続可能性への取り組みに向けた多額の資金を生み出すことができると主張している。しかし、著者らは、提示された財務推計、特に生物多様性の損失の評価には依然として不確実性があると注意を促している。また、評価対象は個人の支出に限られている一方で、これまでの研究では、上位10%の富裕層が投資をつうじて多量の排出量を生み出していることが示唆されている点にも言及している。

シュプリンガーネイチャーは、国連の持続可能な開発目標(SDGs;Sustainable Development Goals)、および当社のジャーナルや書籍で出版された関連情報やエビデンスの認知度を高めることに尽力しています。本プレスリリースで紹介する研究は、SDG 12(つくる責任、つかう責任)、SDG 13(気候変動に具体的な対策を)、SDG 14(海の豊かさを守ろう)、およびSDG 15(陸の豊かさも守ろう)に関連しています。詳細は、「SDGs and Springer Nature press releases」をご覧ください。

Schrijver, I., Hoekstra, R. & Behrens, P. Environmental damages of the top ten percent consumers exceed global climate and biodiversity funding gaps. Commun. Sustain. 1, 94 (2026). https://doi.org/10.1038/s44458-026-00079-x
 

doi: 10.1038/s44458-026-00079-x

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