気候変動:造礁サンゴ種のほぼ半数で相対的な絶滅リスクが高い
Nature
2026年10月16日
Climate change: Nearly half of reef-building coral species at higher relative risk of extinction
国際自然保護連合(IUCN:International Union for Conservation of Nature)のレッドリスト(Red List)に掲載された774種の造礁サンゴを評価したところ、約44%で相対的な絶滅リスクが高いと推定されたことを報告する論文が、今週のNature に掲載される。分析から、気候変動にともなう将来の熱ストレスが個体数減少のおもな要因であることが示唆される。これらの知見は、サンゴの生物多様性を保護し、サンゴ礁の生態系機能を維持するために、さらなる温暖化を抑制することの重要性を裏づけている。
サンゴ礁は、多種多様な海洋生物を支え、100か国以上の熱帯諸国に経済的および社会的利益をもたらしている。気候変動にともなう温暖化は、サンゴ礁にとって重大な脅威であり、白化現象の発生頻度を高めている。2008年には、種横断的に集計されたサンゴ被覆率データにもとづくIUCNレッドリストの初回評価で、造礁サンゴの3分の1が絶滅危惧種に分類された。その後も気温上昇が続き、近年は減少が加速している。
David Obura(コルディオ・イースト・アフリカ〔ケニア〕)、Beth Polidoro(アリゾナ州立大学、メリーランド大学〔米国〕)、Francoise Cabada-Blanco(ポーツマス大学〔英国〕)らは、造礁サンゴ種のIUCNレッドリストの状況を再評価し、従来の数値を更新した。個体数の減少は、種横断的に集計されたサンゴ被覆率の傾向と、SSP2-4.5(SSP:Shared Socioeconomic Pathway〔共通社会経済経路〕)と呼ばれる「中程度の」気候変動シナリオのもとで、深刻な白化が毎年発生するとの予測から推定された。IUCN絶滅危惧種レッドリストは、さまざまな種の相対的な絶滅リスクを判定するための指標である。評価対象の774種のうち、340種(44%)で相対的な絶滅リスクが高かった。地域別では、グレートバリアリーフ(Great Barrier Reef)を含むインド太平洋地域で43%、大西洋で50%の種が絶滅危惧種に分類された。高リスクとされた340種の内訳は、深刻な危機(Critically Endangered)が33種、危機(Endangered)が251種、危急(Vulnerable)が56種だった。高リスクとされた種の93%では、今後30年間の熱ストレスが最も重要な要因だった。
著者らは、今回の評価に用いたデータが、世界的なサンゴの白化現象が発生した2023~2025年の記録上最も暑い3年間より前のものであるため、現在は絶滅危惧種の割合がさらに高いと考えられると指摘している。また、過去30年間の証拠にもとづき、残存するサンゴ個体群を保護するには、温暖化を抑制する取り組みを強化する必要があると警告している。著者らは、本研究の評価には、種横断的に集計されたサンゴ被覆率のデータを用いたと説明している。このデータは、個体数減少の直接的な観測値ではなく、その推定に用いる代用指標である。今後、観測データが増えれば、この限界に対処できると考えられる。
シュプリンガーネイチャーは、国連の持続可能な開発目標(SDGs;Sustainable Development Goals)、および当社のジャーナルや書籍で出版された関連情報やエビデンスの認知度を高めることに尽力しています。本プレスリリースで紹介する研究は、SDG 13(気候変動に具体的な対策を)、およびSDG 14(海の豊かさを守ろう)に関連しています。詳細は、「SDGs and Springer Nature press releases)」をご覧ください。
- Article
- Published: 15 October 2026
Obura, D.O., Polidoro, B., Cabada-Blanco, F. et al. Nearly half of reef-building corals face elevated relative risk of extinction. Nature (2026). https://doi.org/10.1038/s41586-026-11263-3
doi: 10.1038/s41586-026-11263-3
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