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考古学:シャニダール洞窟のネアンデルタール人遺骸に致命的な槍傷の可能性

Scientific Reports

2026年10月16日

Archaeology: Possible fatal spear wound in Shanidar Cave Neanderthal remains

Scientific Reports

イラク・クルディスタン(Iraqi Kurdistan)地域のシャニダール洞窟(Shanidar Cave)から最近発掘されたネアンデルタール人(Neanderthal)個体の遺骸にみられる損傷は、この個体が木製の槍で致命傷を負った可能性を示唆している。この研究について報告する論文が、オープンアクセスジャーナルScientific Reports に掲載される。そのほかの損傷からは、生前に手当てを受けていたことが示唆される。

シャニダール洞窟では、5万~7万5000年前のネアンデルタール人が数個体確認されている。これまでの研究から、これらの個体はおそらく意図的に埋葬されたと考えられ、象徴的な埋葬行動があったことが示唆されている。

Emma Pomeroyら(ケンブリッジ大学〔英国〕)は、2019年と2022年に発掘された「シャニダールA」の遺骨を分析した。遺骨は、ほぼ完全な右手、数本の肋骨とその断片、左肩甲骨、7本の歯で構成されている。推定年齢約45歳のこの個体は、以前に報告された女性「シャニダールZ」の胴体の真下で、頭を東に向けて仰向けの状態で発見された。著者らは、シャニダールAが、特徴的な骨格遺骸群の中でこれまでに発見された最も古い個体であり、既存の浅い溝に安置された可能性が高いと示唆している。

肩甲骨には、直径約15ミリメートルの縁が滑らかな円形の穴があり、そこから放射状に延びる骨折と、ずれた骨片がみられた。著者らは、この損傷が死亡前後に生じ、正面から突き刺された木製の槍によって引き起こされた可能性が高いと考えている。ただし、この傷が狩猟中の事故によるものか、暴力によるものかは不明である。歯にも異常な損傷があり、切歯の1本は縦に割れ、その後に摩耗した痕跡が認められた。このことから、致命的ではない口部外傷を負っていたことが示唆される。

著者らは、シャニダールAが、致命傷となった可能性のある槍傷を負う前に、重度の顔面損傷を負った後も生存できるような手当てを受けていたと示唆している。これらの発見は、シャニダール洞窟のネアンデルタール人が、生前と死後に人をどのようにケアしていたかを知る手がかりとなる。

Pomeroy, E., Hunt, C.O., López-Polín, L. et al. Evidence for funerary behaviour and lethal trauma in a new Neanderthal individual from Shanidar Cave. Sci Rep 16, 30042 (2026). https://doi.org/10.1038/s41598-026-69193-z

 

doi: 10.1038/s41598-026-69193-z

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