注目の論文
進化学:アシナシイモリの最古の化石
Nature
2023年1月26日
Evolution: Oldest-known caecilian found
蠕虫に似た両生類「アシナシイモリ」の最古の化石について報告する論文が、今週のNatureに掲載される。この知見は、アシナシイモリの起源と両生類の中での位置付けを解明する新たな手掛かりとなっている。
現生のアシナシイモリは、四肢のない両生類種で、蠕虫やヘビに似ている。関連性のある化石が少ないため、アシナシイモリの起源は、ほとんど解明されていない。今回の研究でBen Kligmanたちは、米国アリゾナ州の化石の森国立公園の上部三畳紀チンル層で発見されたアシナシイモリ(少なくとも76個体)の化石化した遺骸の断片を分析した。これらの断片は、2億2000万年前のものとされ、アシナシイモリの化石記録の年代が3500万年もさかのぼった。
この化石生物は、現生のアシナシイモリの共通祖先に見られる特徴と絶滅した分椎目ディッソロフス科(四肢をもつ両生類)の特徴を併せ持っている一方、現生のアシナシイモリが持ついくつかの特徴(例えば触手器官)が見られない。そのため、このアシナシイモリの最古の化石は、現生のアシナシイモリと絶滅した四肢動物の間の空白を埋め、平滑両生亜綱(カエルやサンショウウオも含まれる)におけるアシナシイモリの位置を裏付けるものと言える。
doi: 10.1038/s41586-022-05646-5
注目の論文
-
7月3日
ゲノミクス:古代DNAがエジプト人の祖先の謎を解明するNature
-
7月3日
進化:擬態は見る者の目に依存するNature
-
7月1日
心理学:AIが生成した応答を人間によるものと表示すると共感が高まるNature Human Behaviour
-
7月1日
加齢:慢性炎症はすべての集団において加齢と関連するとは限らないNature Aging
-
6月27日
動物学:笑い声を聞いたボノボは、報酬を期待する可能性が高まるScientific Reports
-
6月26日
生態学:バッタの群集行動を抑制Nature