注目の論文
絶滅種の復活は地球への負担になりかねない
Nature Ecology & Evolution
2017年2月28日
De-extinction could cost the Eart
絶滅種の再生は、生物多様性を増すどころか減じる可能性がある、という論文が、今週のオンライン版に掲載される。この研究は、すでに逼迫している保護予算の対象をさらに広げて絶滅種復活のコストをまかなうことになれば、現生種(今でも存在している種)を絶滅の危機にさらしかねないことを示唆している。
Joseph Bennettたちは、費用便益分析を行い、ニュージーランド(NZ)およびオーストラリア・ニューサウスウェールズ州(NSW)の政府にとって保護する余裕を持てる生物種の数を算出した。費用の推定は、最近の絶滅種および類似の現生種に基づいている。研究の結果、最近の絶滅種の一部をもとの生息地に再導入すると、局地的には現存の生物多様性が向上する可能性があるものの、NZでは、全11種の絶滅焦点生物種を政府資金で保全すれば、ほぼ3倍もの現生種(31種)の保護が犠牲になることが分かった。すでに絶滅したNSWの焦点生物種5種の保全に対する外部資金は、現生種に使えば8倍を超える数(42種)を保護することができる。
絶滅種復活技術は未完成であるが、研究チームは、絶滅生物の再生ではどの種をどこに再導入すべきかについて熟慮する必要があろう、という結論に達している。
doi: 10.1038/s41559-016-0053
注目の論文
-
5月9日
生物学:人為起源の地球規模の変化が感染症伝播リスクに影響を及ぼしているNature
-
5月8日
生態学:マッコウクジラの複雑な鳴音を調べるNature Communications
-
5月7日
遺伝学:APOE4遺伝子バリアントはアルツハイマー病の他とは異なる遺伝的タイプである可能性があるNature Medicine
-
5月3日
動物学:薬用植物を使って創傷治療を行う野生動物が初めて報告されるScientific Reports
-
5月3日
進化学:地球の磁場が弱くなっていたために地球上の生物の多様化が進んだのもしれないCommunications Earth & Environment
-
5月2日
人類学:長期的レジリエンスは苦難によって構築されるNature