注目の論文
【微生物学】アルツハイマー病患者の脳組織が真菌に感染していた
Scientific Reports
2015年10月16日
Microbiology: Fungal infection in patients with Alzheimer’s
アルツハイマー病患者の脳組織で真菌細胞と真菌菌糸が見つかったという初期研究の結果を報告する論文が、今週掲載される。
この研究で、Luis Carrascoたちは、顕微鏡と抗真菌抗体を用いて、11人のアルツハイマー病患者と10人の対照患者から採取した脳組織標本を調べた。研究対象となった患者のうち、アルツハイマー病患者全員の脳組織切片から真菌細胞とその他の真菌材料が検出されたが、対照患者からは発見されなかった。また、アルツハイマー病患者の血液試料には真菌の高分子(タンパク質、DNAなど)の存在が確認された。Carrascoたちは、検出された真菌の形態的特徴がアルツハイマー病患者一人一人異なっているかもしれないと指摘しており、このことからは、存在する真菌種が症例ごとに異なっている可能性が示唆されている。
Carrascoたちは、今回の研究対象となったアルツハイマー病患者の年齢(62~92歳)を考慮し、適応免疫応答の弱いことが真菌感染症の出現の一因とする見解を示している。しかし、今回明らかになった真菌感染の原因を確定するにはさらなる臨床研究が必要とされる。
doi: 10.1038/srep15015
注目の論文
-
5月29日
社会科学:研究テーマの変更は被引用数の減少につながるかもしれないNature
-
5月28日
古生物学:クジラの骨から作られた最古の道具の証拠Nature Communications
-
5月27日
生態学:世界的に過小評価されている外来種のコストNature Ecology & Evolution
-
5月22日
微生物学:効果的な新しい抗マラリア薬は寄生生物を標的とするNature
-
5月21日
医学:非接触型無線モニタリングによる心臓不整脈の検出Nature Communications
-
5月20日
人工知能:大規模な言語モデルは、オンライン討論において人間よりも説得力を持つことができるNature Human Behaviour