Research Press Release
物理:史上最高の精度を達成した原子時計
Nature Communications
2015年4月22日
高精度の記録を塗り替えた原子時計について報告する論文が、今週掲載される。これは、ストロンチウム原子の格子を用いた光格子時計で、これまで最も正確だった原子時計と比較して、精度が約3倍も改善された。
近年、先端的なレーザー安定化技術と新技術の原子トラッピング法が大きく改善した。今回、Jun Yeたちは、こうしたツールを光格子時計に活用し、他の種類の原子時計より安定性を高め、不確実性を低減した。Yeたちは、外部電場から分離された極低温ストロンチウム原子の格子と超安定レーザーによる摂動を構成要素とする光格子原子時計がこれまで以上の安定性を達成したことを報告している。この安定性の向上により、光格子時計の精度が新たな高みに到達しただけでなく、光格子時計が現在の時間標準であるセシウム原子泉時計に取って代わる日が近づいたといえる。
doi:10.1038/ncomms7896
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
生体医工学:皮膚を透過するポリマーが動物にインスリンを送達Nature
-
神経科学:言語の知覚は翻訳によって失われないNature
-
神経科学:ダンスに対する脳の反応を解明するNature Communications
-
神経科学:減量薬が食物渇望に関連する脳信号に影響を与えるかもしれないNature Medicine
-
医学:豚からヒトへの腎臓移植の長期経過観察Nature
-
生態学:鳥インフルエンザがサウスジョージア島の繁殖期のゾウアザラシ個体数を半減させるCommunications Biology
