Research Press Release

地球科学:衛星地図が明らかにした世界の河川の変化

Nature

2026年3月5日

世界中の約13万か所の河川区間を衛星観測した結果にもとづく、河川流路形状および月ごとの貯水量変化のほぼ全世界的な分布図を報告する論文が、Nature にオープンアクセスで掲載される。この発見は、世界の河川動態に関する理解を深め、水資源管理や洪水リスク軽減に役立つ可能性がある。

河川は、地球上で最も利用しやすい淡水源であるにもかかわらず、河川が貯留する水量やその変化に関する地球規模の推定は限定的であった。これまでの研究は、特に河川流入水量や水流速度に関する不確実性をともなう、不十分な観測データやモデルに依存していた。この課題に取り組むため、2022年に地球表面水域を観測する目的で打ち上げられたのが、表面水および海洋地形(SWOT:Surface Water and Ocean Topography)衛星である。

Arnaud Cerbelaudら(ジェット推進研究所〔米国〕)は、SWOTによる河川幅と水面高の衛星観測初年度データ(2023~2024年)を分析した。対象は、全世界12万6674河川の区間である。著者らは、記録された最低水位と最高水位の間で河川回廊がどのように形状を変えるかを調べ、急勾配から緩勾配、凹状から凸状まで多様な水路形態が存在することを発見した。アマゾン川、長江、ガンジス川、メコン川、およびミシシッピ川など主要河川では、最高水位と最低水位の差が10メートル以上に達する。貯水量には、明確な季節的および地域的パターンが確認され、たとえば、アマゾン流域の貯水量変動幅は約172.9立方キロメートル(水量)であるのに対し、ナイル川流域では8.5立方キロメートルであった。

これらの初期観測は、河川の貯水量が年間を通じてどのように変動するかを直接的にとらえた、世界初の全体像を提供している。著者らは、氷の影響を受ける地域、氾濫原、および測定が依然として不確実な場所では、データに空白が残っていることを指摘している。

Cerbelaud, A., Wade, J., David, C.H. et al. Wide-swath altimetry maps bank shapes and storage changes in global rivers. Nature (2026). https://doi.org/10.1038/s41586-026-10218-y

シュプリンガーネイチャーは、国連の持続可能な開発目標(SDGs;Sustainable Development Goals)、および当社のジャーナルや書籍で出版された関連情報やエビデンスの認知度を高めることに尽力しています。本プレスリリースで紹介する研究は、SDG 13(気候変動に具体的な対策を)に関連しています。詳細は、「SDGs and Springer Nature press releases」をご覧ください。

doi:10.1038/s41586-026-10218-y

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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