【がん】化学療法に対するマウスの反応に飼育温度が関係している
Nature Communications
2015年3月11日
がんのマウスモデルを用いた、化学療法に対する反応に飼育温度がどのように影響するのかについての研究の報告が、今週掲載される。この論文は、腫瘍の増殖と治療に対するストレスの影響を明らかにした上で、マウスを使って抗がん剤の新薬を試験する場合にこの点を考慮に入れるべきだと警告している。
今回、Bonnie Hylanderたちは、膵臓がんの一種にかかっているマウスを用いた研究で、平均気温を上回る摂氏30度で飼育されたマウスが、通常の飼育温度である摂氏22度で飼育されたマウスより抗がん剤シスプラチンに対する反応が良かったことを明らかにした。その原因として、低温状態がマウスにとってストレスになっており、ストレスホルモンであるノルエピネフリンの濃度が上昇して、代謝を活性化し、体温の維持に寄与し、このストレスに適応していることをHylanderたちは挙げている。また、この適応応答において、シスプラチンに対する腫瘍細胞の抵抗性が高まっている。もしベータ遮断薬のプロパノールを用いてノルエピネフリンの作用を阻害すれば、低温で飼育されたマウスであっても高温状態で飼育されたマウス並みにシスプラチンに対する高い反応が得られるものと考えられる。
このメカニズムを援用すれば、マウスを用いた抗がん薬の前臨床研究の結果に矛盾が見られる理由の一部を説明できる可能性がある。研究に用いられたマウスの飼育温度にばらつきがあったかもしれないからだ。今回の研究結果は、化学療法に対する反応がこれまで考えられていたよりも柔軟である可能性も示している。
doi:10.1038/ncomms7426
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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