Research Press Release

ブラックホールレーザーによるホーキング放射の観測

Nature Physics

2014年10月13日

ホーキング放射(量子効果によってブラックホールから放出される放射)のブラックホールレーザーによる証拠が、今週のオンライン版で報告されている。これは、自己増幅するホーキング放射の初の観測結果で、天体物理学のブラックホールを実験室で調べるエキサイティングな系が得られた。

1974年に、スティーヴン・ホーキングは、量子効果のためにブラックホールは完全にブラックではなく、実際はある種の放射を放つことを示した。現在これは、ホーキング放射と呼ばれているが、放出される放射の量は極めて小さいと考えられるので、天体物理学的な観測はできないかもしれない。そこで、光ではなく音が脱出できない、流体でできた音響ブラックホールを用いたホーキング放射の観測が試みられている。しかし、こうした系でのホーキング放射の観測も、この効果が極めて小さいので困難であることが分かっている。

Jeff Steinhauerは今回、実験室でブラックホールレーザーを作ってホーキング放射を増幅する方法を実証している。Steinhauerは、量子流体を用いて、ブラックホール地平面(ブラックホールに入る音が引き返せなくなる限界点)とホワイトホール地平面(その反対に、音が通れずはじき出される点)を組み合わせた。こうした系は、音波のレーザーとして働き、放出されるホーキング放射を検出可能なレベルまで増幅する。

doi:10.1038/nphys3104

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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