Research Press Release
【合成生物学】光る細胞を使ったアレルギーのプロファイリング
Nature Communications
2014年8月6日
少量の血液サンプルを用いて個人のアレルギー反応のプロファイルを作成する方法について報告する論文が、今週掲載される。
現在のところ、ヒトがアレルギー反応を起こす際の引き金を突き止める方法としては、皮膚プリックテスト(ただし、一部の被験者が非常に強い免疫反応を起こすことがある)、そして、大量の血液を使って試験管の中でアレルギー反応を起こす方法がある。
今回、Martin Fussenegerたちは、細胞を修飾して、少量のヒスタミン(アレルギー反応中に放出される分子)の存在下で蛍光を発するようにした。そして、血液サンプルをアレルゲン(例えば、各種花粉やダニ)に曝してから、この修飾細胞に添加した。血液中にヒスタミンが存在していれば、アレルギー反応が起こっているということであり、修飾細胞は蛍光を発した。この方法を用いたところ、数人の患者において、一般的に実施される皮膚プリックテストと同等の結果が得られ、少量の血液しか必要とならなかった。
この方法を可能とした修飾細胞については、さらなる修飾によって別のタイプの分子を検知できるようになれば、別の診断テストや治療薬の効能の検証の基盤となる可能性がある。
doi:10.1038/ncomms5408
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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