Research Press Release
温暖化の鈍化を予測できる気候モデル
Nature Climate Change
2014年7月21日
エルニーニョ/南方振動(ENSO)の影響などの自然変動と同期した気候モデルを用いることで、最近の全球的な温暖化の鈍化を予測できることを報告した論文が、今週のオンライン版に掲載される。
全球的な温暖化が過去15年間にわたって鈍化しており、気候モデルの正確さと信頼性に疑問が生じている。現在の気候モデルは、気候システムの1つの表現であるため、非人為的な気候変化のサイクルを把握できていない。モデルによる正確な短期予測をするためには、気候モデルが、こうした10年サイクルと最初から同期している必要がある。
今回、James Risbeyたちは、現在の気候モデルが過去15年間の気温の観測結果を再現できているかどうかを突き止めるため、海面水温によってエルニーニョ/南方振動を表現できる18の全球気候モデルを調査した。そして、観測結果との比較を行い、エルニーニョ/南方振動の現状を正確に表している複数のモデルを特定した。こうして選ばれた気候モデルは、過去15年間の気温の変化傾向だけでなく、最近の太平洋の海面温度の空間的傾向に関しても、これまでより正確な推定を行うことができる。
doi:10.1038/nclimate2310
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
動物学:笑い声を聞いたボノボは、報酬を期待する可能性が高まるScientific Reports
-
コンピューターサイエンス:コンピュータービジョンの研究が監視技術にどのように活用されているかNature
-
生態学:バッタの群集行動を抑制Nature
-
天文学:新惑星の発見が宇宙の知識の空白を埋めるNature
-
ゲノミクス:古代 DNA がカルパチア盆地の多様なコミュニティー組織を明らかにするNature Communications
-
化学:細菌がプラスチック廃棄物を鎮痛剤に変換Nature Chemistry