Research Press Release
喘息に行き着く
Nature Immunology
2014年7月7日
喘息やアレルギー疾患が発症しやすくなるのはどのような遺伝子が原因か、その解明がまた一歩近付いた。
これまでのゲノムワイド関連研究(GWAS)によれば、喘息に関連する可能性のある標的遺伝子は1500を超えていて、個々の遺伝子が病気にどの程度関わるかを解明するには、あまりに数が多すぎる。白血球の一種で免疫応答に重要な役割を担うT細胞も、ずっと以前から喘息との関連が指摘されていた。
Pandurangan Vijayanandたちは、健常者と喘息患者から少量の血液を採取し、そのT細胞のエピジェネティックマーカーを調べた。特に、特定の遺伝子の発現頻度を上昇させるゲノムエンハンサーに関連する、H3K4me2という修飾に着目した。そして、喘息患者由来のT細胞と健常者由来のT細胞とでは、H3K4me2プロフィールに違いがあることを発見した。
次に彼らは、この結果を、他の公表されているヒトゲノムデータやGWASと組み合わせて、1500の候補を約38の標的部位へと絞り込んだ。38ならば、喘息への関わりの程度を調べるのに、はるかに扱いやすい数である。
doi:10.1038/ni.2937
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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