Research Press Release
セリアック病(小児脂肪便症)をとらえる
Nature Structural & Molecular Biology
2014年4月29日
セリアック病で重要な役割を果たすグルテンペプチド2分子と複合体を作った4つの免疫系T細胞受容体(TCR)の結晶構造が、今週報告される。今回の発見は、特定のTCRがセリアック病患者に頻繁に現れる理由を説明するのに役立つものである。
セリアック病は炎症性疾患で、グルテン摂取によって引き起こされ、小腸組織に障害をもたらす。西側諸国では人口の1パーセント程度がこの病気にかかり、唯一の対処法は食事からグルテンを取り除くというものである。
Jamie Rossjohn, Frits Koning, Hugh Reidたちは、セリアック病患者から4つのTCRを単離し、この疾患における中心的な状況でTCRが示す構造をとらえた。すなわち、セリアック病の90~95%に付随するペプチド提示分子の変異型 HLA-DQ2によって提示されるグルテンの認識である。
同誌に掲載されるNews and Viewsでは、Bana Jabri, Xi Chen, Ludvig M Sollidが、この研究によって、セリアック病では選ばれたTCRによって免疫優性のグルテンペプチドがどのように認識されるかについての理解が進展し、他の自己免疫疾患についての洞察が得られる可能性があると述べている。
doi:10.1038/nsmb.2817
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
生体医工学:皮膚を透過するポリマーが動物にインスリンを送達Nature
-
神経科学:言語の知覚は翻訳によって失われないNature
-
神経科学:ダンスに対する脳の反応を解明するNature Communications
-
神経科学:減量薬が食物渇望に関連する脳信号に影響を与えるかもしれないNature Medicine
-
医学:豚からヒトへの腎臓移植の長期経過観察Nature
-
生態学:鳥インフルエンザがサウスジョージア島の繁殖期のゾウアザラシ個体数を半減させるCommunications Biology
