神経科学:ダンスに対する脳の反応を解明する
Nature Communications
2025年11月19日
ダンスのスタイルは、その動きや美しさ、感情によって脳を異なる方法で活性化させることを報告する論文が、オープンアクセスジャーナルNature Communications に掲載される。この発見は、ダンスの鑑賞や実演に伴う複雑な神経活動を解明する手がかりとなる。
ダンスを処理する際の神経活動を観察することで、脳が視覚情報とともに音楽や感情的な合図を組み合わせて解釈する仕組みが明らかになる。これまでの神経画像研究では、ダンス動画や生パフォーマンスを視聴中に最も活性化する脳領域が特定されてきた。しかし、個々の脳内でこの情報がどのように処理されるかの詳細な記述は少ない。
高木 優ら(東京大学)は、14名の参加者(初心者ダンサー7名および熟練ダンサー7名)が約5時間のダンス映像を視聴する際に脳をスキャンした。映像には30人以上のダンサーが、ヒップホップ、ブレイクダンス、ストリートダンス、およびバレエジャズなど10ジャンルの60曲以上で振り付けを披露する様子が収められていた。著者らは、大量のダンス動画で訓練した深層生成型人工知能モデルを用いて、ダンスに対する脳活動を評価した。このモデルを被験者の脳データに適用したのである。その結果、動き、音楽、美しさ、および感情を組み合わせた複数の特徴が、参加者の脳内におけるダンスの認識パターンを予測することが判明した。また、熟練ダンサーほど各ダンススタイル(特に動作認識)に対して独自性の高い脳内マップを形成していることも示唆された。
本研究は、人間の脳が振り付けを認識・創造する仕組み、およびダンスのトレーニングによる脳の変化について新たな知見を提供するものである。
- Article
- Open access
- Published: 18 November 2025
Takagi, Y., Shimizu, D., Wakabayashi, M. et al. Cross-modal deep generative models reveal the cortical representation of dancing. Nat Commun 16, 9937 (2025). https://doi.org/10.1038/s41467-025-65039-w
doi:10.1038/s41467-025-65039-w
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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