Research Press Release
無効な抗HIV応答
Nature Structural & Molecular Biology
2010年11月15日
HIV-1に対し作られるヒト抗体の多くは、効果がない。Nature Structural & Molecular Biology(電子版)に発表される2つの研究がこの理由を明らかにしている。これらの結果は、今後のワクチン設計に影響を及ぼす可能性がある。
我々の免疫系は抗体を作って、多くの病気から体を守る。しかしHIV-1はこの防御に動じないようにみえる。ウイルスタンパク質 gp41はウイルスの融合と細胞への侵入に重大な役割をもつ。HIV-1患者では抗gp41抗体が作られるが、細胞の感染を効果的に阻止できる抗体は非常にまれである。N NicelyとB Haynes、そしてB Chenは別々の論文で、最も一般的なのに効果のない抗体は、ウイルスが細胞にとっくに侵入してからとる形状のgp41を認識しており、これがHIV-1 から細胞を防御できない理由であることを示している。
doi:10.1038/nsmb.1944
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
古生物学:インドで発見された化石は新属新種の古代の大蛇だったScientific Reports
-
生体力学:昆虫の翅のヒンジは筋肉によって制御されているNature
-
気候変動:気候変動に伴う経済的コストNature
-
生物学:闘争・逃走系の起源Nature
-
材料:接着剤が海洋性軟体動物種の追跡に役立つNature Communications
-
気候変動:海洋での致死的な極端低温事象の強度と頻度が高まっているNature Climate Change