医学:減量治療中の筋肉の保護
Nature Medicine
2026年6月9日
第2相臨床試験において、アピテグロマブ(apitegromab)という薬剤は、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1:glucagon-like peptide 1)受容体作動薬であるチルゼパチド(tirzepatide)による減量中に除脂肪体重を維持するのに役立つ可能性があることを報告する論文が、Nature Medicine にオープンアクセスで掲載される。この知見は、筋肉の成長を阻害するタンパク質を阻害することで、除脂肪体重の減少を抑え、患者の減量成果を改善できることを示唆している。
チルゼパチドのようなGLP-1受容体作動薬は、大幅な体重減少をもたらすことができる。しかし、この減量の一部は除脂肪体重の減少によるものである可能性がある。除脂肪体重は、おもに骨格筋で構成されており、筋力、全身の健康、代謝、および身体活動にとって重要である。アピテグロマブは、骨格筋の分解に関与するタンパク質であるミオスタチン(myostatin)を阻害するように設計された薬剤である。
Richard Pratleyら(AdventHealth Translational Research Institute〔米国〕)は、無作為化二重盲検プラセボ対照第2相試験においてアピテグロマブを検証した。この試験には、過体重または肥満の成人102名が参加し、24週間にわたり、チルゼパチドとアピテグロマブ、またはチルゼパチドとプラセボのいずれかが投与された。試験終了時点で、総減量量は両群で同程度であったが、アピテグロマブを投与された群は、プラセボ群に比べて除脂肪量が1.9キログラム少なく、これは除脂肪量の保持率が54.9%高いことを示している。アピテグロマブ群では、体重減少総量の14.6%が除脂肪体重であったのに対し、プラセボ群では30.2%を占めた。アピテグロマブは、おおむね良好な忍容性を示し、治療群間の有害事象発生率は類似していた。具体的には、アピテグロマブ群の参加者51名中39名(76%)が何らかの有害事象を経験したのに対し、プラセボ群では51名中36名(71%)であった。
著者らは、アピテグロマブがチルゼパチド治療中の除脂肪体重の維持に寄与し、減量の体組成の改善に役立つ可能性があると示唆している。ただし、本試験は比較的小規模であり、参加者の80%以上が女性であったこと、また、糖尿病を含む重篤な心代謝疾患を有する患者が除外されていた点に留意が必要である。
- Article
- Open access
- Published: 08 June 2026
Pratley, R.E., Denham, D.S., Trivedi, R. et al. Apitegromab for lean mass preservation during tirzepatide-induced weight loss: a randomized, double-blind, placebo-controlled phase 2 trial. Nat Med (2026). https://doi.org/10.1038/s41591-026-04440-4
doi:10.1038/s41591-026-04440-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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