Research Press Release
まれな脳腫瘍のドライバー変異
Nature Genetics
2014年1月13日
頭蓋咽頭腫の「ドライバー」として作用する遺伝的変異が判明した。頭蓋咽頭腫は、まれな良性脳腫瘍で、激しい頭痛、睡眠障害、視覚障害、肥満などの有害転帰をもたらすことがある。今回の研究では、頭蓋咽頭腫の原因に関わる重要な経路と新薬開発の標的が同定された。この研究成果を報告する論文が、今週掲載される。
今回、Gad Getz、Sandro Santagataたちの研究チームは、15人の患者から得た頭蓋咽頭腫のタンパク質コード領域の塩基配列解読を行い、さらに、別の95人の患者から得た98例の頭蓋咽頭腫の選択的塩基配列解読を行った。その結果、2つの遺伝子の反復変異が高い割合で同定された。つまり、小児に多く見られる頭蓋咽頭腫のサブタイプであるエナメル上皮腫型頭蓋咽頭腫の96%でCTTNB1遺伝子の変異が見られ、成人に多く見られる乳頭型頭蓋咽頭腫の95%でBRAF遺伝子の反復変異が見つかった。乳頭型サブタイプに関連する遺伝的変異が報告されたのは今回が初めてだ。今回の発見は、頭蓋咽頭腫の臨床診断に役立つ可能性がある。
doi:10.1038/ng.2868
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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