Research Press Release

母乳を通じた記憶能のプログラミング

Nature Neuroscience

2013年12月2日

成体マウスで記憶をたどる能力は、母乳に含まれる免疫系の因子による影響を受ける可能性があるとの報告が、オンライン版に掲載される。この発見は、ケモカインという免疫因子が母乳を通じて子孫に伝達され、免疫系の発達だけでなく脳の発達やさらなる認知面の能力に影響を及ぼす可能性を示している。

Miklos Tothたちは、マウスの母親がTNF-αという免疫系の遺伝子を持つか持たないかで、そのマウスが成長したときの記憶能力に影響が現れることを発見した。これは、仔マウス自身がその遺伝子を持つか持たないかには関係がなかった。母親の行動や子宮内環境の影響を除外した一連の実験を通じて、Tothたちはこの効果が母乳を通じて仔マウスに伝えられたケモカインによるものであることを明らかにした。母乳中のケモカインはまた、仔の脳にも変化を生じさせており、海馬に新しく生まれるニューロンの数が増加していた。海馬は空間記憶や前後関係依存記憶に関わる脳領域とされており、ひいては成体での記憶に影響すると考えられる。

doi:10.1038/nn.3596

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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