Research Press Release
がん遺伝子の解読
Nature Immunology
2013年8月26日
B細胞リンパ腫の発生過程が明らかになった。この知見から、MEF2Bタンパク質が、ある種のB細胞リンパ腫の治療標的に可能性が浮かび上がった。
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は、よく見られるタイプの非ホジキンリンパ腫である。DLBCLのかなりの割合が、BCL6遺伝子かMEF2B遺伝子の変異によって生じるが、これら2つの遺伝子とDLBCLがどのように結びつくのかは、これまで不明だった。
Riccardo Dalla-Faveraたちは、MEF2Bは転写因子をコードしており、これがBCL6の発現を活性化することを明らかにした。MEF2Bタンパク質の活性自体が厳密に調節されているが、BCL6の発現やMEF2Bの活性を阻害する調節を解除するような変異が起こると、活性化されたB細胞ががん細胞へと形質転換する可能性が高まる。MEF2Bの機能を阻害すればDLBCL細胞系列の増殖を阻害できることが明らかになり、MEF2Bが治療標的になる可能性があることがわかった。
doi:10.1038/ni.2688
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
動物の行動:犬はおもちゃにすっかり夢中Scientific Reports
-
社会科学:オンライン上で歪められた年齢とジェンダーの表象Nature
-
材料科学:通常のプラスチックと同等の強度を持つ生分解性の竹プラスチックNature Communications
-
材料:海洋から回収した炭素を生分解性プラスチックに変換Nature Catalysis
-
動物の行動:ネグレクトされた子犬は成犬になるとより攻撃的で恐怖心が強くなるScientific Reports
-
遺伝学:自閉スペクトラム症の遺伝的に異なる形態Nature