Research Press Release

【生物学】サクラマスが季節を感じるメカニズム

Nature Communications

2013年7月3日

魚類の器官である血管嚢が体内時計の働きをして、日照時間(日長)の季節差を感知することが明らかになった。

哺乳類の場合、太陽光が眼によって捕捉され、その情報は、下垂体隆起部に伝達され、これが体内時計の機能を果たす。下垂体隆起部が日長のタイマーとして作用するので、脳は、今が日中なのか夜間なのかがわかり、短日と長日の区別ができ、その結果、季節の区別ができる。魚類の場合には、下垂体隆起部がないため、季節センサーとして機能する器官があるのかどうかが定かでなかった。

今回、名古屋大学の吉村崇(よしむら・たかし)たちは、サクラマスの研究で、血管嚢が時計機能を有することを明らかにした。血管嚢が光周性シグナル(例えば、日長の変動)に応答できることを発見したのだ。吉村たちは、季節繁殖を調節する既知の遺伝子と眼や松果体で見つかっている既知の光受容器に似た光受容器を観察した。また、単離された血管嚢が光の変化に応答し、血管嚢を欠損させた魚類は光の変化に応答できなかったことも判明した。

doi:10.1038/ncomms3108

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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