Research Press Release
地球の熱収支から得られる気候応答に対する拘束条件
Nature Geoscience
2013年5月20日
過去10年間に見られる気候温暖化速度の低下は、大気中のCO2濃度が2倍になることに応答した結果としての(平衡)温度上昇の見積もり、を顕著に変更することにはならないという報告が、今週オンライン版に掲載される。しかしながら、研究は(平衡に達する前の)大気中の温室効果ガスレベル上昇に対する急速な温度の応答は、下向きに修正する必要がある可能性を示唆している。
Alexander Ottoらは、過去の記録と気候モデルシミュレーションを用いて、観測に基づいた放射強制力の見積もりだけでなく、地表温度の見積もりと地球の熱収支を解析した。彼らはこれらのデータを用いて、平衡気候感度と1970年から2009年の間にCO2濃度が2倍になることに対する一時的な気候応答の幅を決定した。研究者は、近く発表される第5次気候変動に関する政府間パネル評価に用いられたほとんどの気候モデルは提示した結果と矛盾していないが、かなり大きい不確定性が存在することを指摘している。
doi:10.1038/ngeo1836
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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