Research Press Release
【生態】気候変動によって枯れにくい高齢の森林
Nature Communications
2013年4月4日
若齢と高齢の森林における樹木の枯死は、気候変動と人為的な森林開発過程によって増加するが、気候変動に関連した枯死確率の上昇は、若齢の森林の方が大きいことが判明した。この新知見は、森林に対する気候変動の影響を評価する方法にとって重大な意味をもっている可能性がある。
高齢の森林は、一般に、各地域の森林の的確な代表と考えられており、樹木の枯死の時間的傾向を計算するために用いられている。こうした研究に基づき、高齢の森林における樹木枯死確率を時間の経過に応じて上昇させる駆動要因は、地球温暖化を介した気候変動だけだと考えられてきた。今回、Yong LuoとHan Chenは、カナダ西部の5種の北方樹木種の枯死パターンを解析して、枯死確率に対する気候変動の影響が、若齢の森林と高齢の森林で異なっており、森林内での局所的変化も役割を担っていることを見いだした。
この新知見は、樹木枯死の原因がこれまで考えられていた以上に複雑なことを明らかにしており、気候変動に対する森林生態系の応答過程に関して、さらに包括的な解析が必要なことを示唆している。
doi:10.1038/ncomms2681
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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