Research Press Release
秘密はポケットの中に
Nature Chemical Biology
2010年8月16日
これまで知られていなかったアロステリックポケット(酵素の活性部位の外にあるポケット)と結合して酵素FPPSを阻害する新種の化合物が同定されたことが、Nature Chemical Biology(電子版)に発表される。FPPSは脂質の形成に関与する酵素であり、がんなど複数の疾患の標的となる可能性がある。今回の発見から、新たな抗腫瘍治療法が開発される可能性がある。
骨粗鬆症などの骨疾患の治療に有効なFDA承認薬「ビスホスホネート類」は、FPPSを強力に阻害する。これまで、ビスホスホネート類を抗腫瘍剤として利用することができる可能性は指摘されていたが、この種の化合物は、骨の無機質に強く誘引されることから、多くの腫瘍を標的とするのに不向きであった。NMR分析とX線結晶解析とを併用することにより、W Jahnkeたちは、新しい非ビスホスホネート型化合物によるFPPS阻害を可能とする新たなアロステリック結合ポケットを発見した。この知見は、抗がん標的としてFPPSをさらに評価する機会をもたらすものである。
doi:10.1038/nchembio.421
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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