Research Press Release
幹細胞の生化学が明らかにされた
Nature Chemical Biology
2010年5月3日
幹細胞は、ある種の天然代謝物を利用して、さまざまな刺激に基づく分化に備えている。Nature Chemical Biology(電子版)に発表される今回の知見は、幹細胞の挙動で代謝物が果たす役割に新たな重要性を与えており、幹細胞の機能をバイオ技術的な目的のために制御するうえで重要と考えられる。
従来の幹細胞研究では、どの遺伝子がオンオフされ、それによってどのタンパク質が出現して細胞機能を制御するのかを解明することばかりに重点が置かれていた。代謝物 ― 細胞の正常な生化学的プロセスで産生および分解される小分子 ― が同じように研究されることはなかった。
G Siuzdak、S Dingたちの論文は、幹細胞のメタボロミクス解析に関するもので、多くの既知代謝物の濃度に着目し、幹細胞に存在して分化細胞に存在しない物質がどれであるかを明らかにした。その結果、幹細胞には酸化された化合物が多いことがわかり、そうした特定の分子の操作で幹細胞の分化が左右されることも明らかにされた。
doi:10.1038/nchembio.364
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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