Research Press Release
グラフェンがまるまってフラーレンができる
Nature Chemistry
2010年5月10日
炭素原子シートがまるまってフラーレンというサッカーボール形炭素分子ができることが、Nature Chemistry(電子版)に報告されている。フラーレンは25年前から研究されているが、この化合物がどのようにしてできるのか、まだはっきりわかっていない。
通常のフラーレン合成法では、レーザーや電気アークを用いて、グラファイトという層状炭素材料をバラバラにする。グラファイトからフラーレンが生成する機構については、グラファイトからちぎれ飛んだ炭素原子や小さなクラスターが集まってフラーレンができると考えられていた。
A Chuvilin、A Khlobystovと共同研究者らの研究結果は、フラーレン化合物がグラファイトシート表面上で一気に形成される可能性があることを示唆している。研究者らは電子ビームを使って、グラフェン(鶏舎の金網に似た原子1個分の厚さの炭素シート)中の原子を励起した。シートの一部は、ちぎれて小さな薄片となった後、再配列して球状のかごのようなフラーレンとなることが、透過電子顕微鏡像から明らかになった。
doi:10.1038/nchem.644
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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