Research Press Release
細胞質内の細菌やDNAウイルスと闘う
Nature Immunology
2010年3月29日
ある種の細菌感染やDNAウイルスに対する免疫応答にDNAセンサーAIM2が不可欠であることが、初めて生化学的、遺伝学的に証明された。
AIM2インフラマソームは複数のタンパク質からなる複合体で、微生物の侵入に対する宿主の防御応答に必要な物質の放出を引き起こす。K Fitzgeraldが率いるグループとE AlnemriのグループがAIM2をもたないマウスを作り、AIM2が免疫応答に及ぼす影響を検証したところ、AIM2は、野兎病(ツラレミア)の原因となる野兎病菌Francisella tularensisに対する免疫に不可欠なことがわかった。さらにFitzgeraldのグループは、ある種のポックスウイルス、マウスサイトメガロウイルス感染にもAIM2インフラマソームの活性化が必要なことを発見した。また、リステリア症の原因となる細菌Listeria monocytogenes感染にも、AIM2インフラマソームがある程度かかわることもわかった。
さらに研究を進めれば、それ以外にもどのような細菌、ウイルスの細胞内侵入にAIM2が必要か、明らかになるかもしれない。
doi:10.1038/ni.1859
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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