Research Press Release
マラリア原虫の伝播に関連するヘモグロビン変異体
Nature Genetics
2010年3月22日
ヘモグロビンC(HbC)とヘモグロビンS(HbS)が、ヒト宿主から蚊へのマラリア原虫の伝播増加に関連することを明らかにした論文が、Nature Genetics(電子版)に掲載される。今回の研究成果は、ヒト宿主の遺伝的多型が、マラリアの伝播率に影響しうることを示唆している。
マラリアは、マラリア原虫を原因とする致命的な疾患で、マラリア原虫に感染した蚊を介して、ヒトに伝播する。2種類のヘモグロビン(HbCとHbS)の遺伝的多型には、マラリアに対する防御効果があることが知られている。
D Modianoらは、HbCとHbSが、ヒトから蚊へのマラリア原虫の伝播にも影響するかどうかを調べた。そして、西アフリカの農村地域の約4,000人について大規模な調査を行い、HbCの遺伝的多型を保有する者のマラリア原虫感染率が高いことを見いだした。次にModianoらは、遺伝子型別になった血液を餌とした6,000匹以上の蚊を使って伝播実験を行った。その結果、ヒトの血液から蚊へのマラリア原虫の伝播は、HbC保有者の血液を餌とした蚊の場合に高くなった。
doi:10.1038/ng.554
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
古生物学:インドで発見された化石は新属新種の古代の大蛇だったScientific Reports
-
生体力学:昆虫の翅のヒンジは筋肉によって制御されているNature
-
気候変動:気候変動に伴う経済的コストNature
-
生物学:闘争・逃走系の起源Nature
-
材料:接着剤が海洋性軟体動物種の追跡に役立つNature Communications
-
気候変動:海洋での致死的な極端低温事象の強度と頻度が高まっているNature Climate Change