Research Press Release

T細胞白血病で見つかったPHF6遺伝子の変異

Nature Genetics

2010年3月15日

X染色体遺伝子PHF6は、ある特定の白血病で頻繁に変異が見つかることが、Nature Genetics(電子版)に報告される。この研究では、T細胞性急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)の発症に関与するX連鎖遺伝子として、PHF6遺T-ALLは、急速進行性の血液がんで、女性より男性に3倍多くみられ、体内の免疫系を構成する白血球の一種であるT細胞の無制限増殖を原因とする。白血病全体では、世界に約30万人の患者がおり、全症例の約10%が急性リンパ芽球性白血病(ALL)に分類され、ALL症例の30%がT-ALLに分類されている。

A Ferrandoらは、男性T-ALL患者12人から得た腫瘍標本で、X染色体上の遺伝子の塩基配列を解読し、PHF6遺伝子に3つの腫瘍特異的な変異を同定した。また、別のT-ALL 患者246人から得た腫瘍についてX染色体遺伝子の解析を行い、標本全体の3%において、PHF6遺伝子を含む領域が欠失していることを見いだした。さらには、別のT-ALL患者131人を対象にPHF6遺伝子を調べ、成人T-ALL患者標本の38%、小児T-ALL 患者標本の16%で、この遺伝子の変異を発見した。これに対し、別のタイプのALLであるB細胞性急性リンパ芽球性白血病の62例では、PHF6遺伝子の変異は見つからなかった。

doi:10.1038/ng.542

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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