一細胞を分析するならプールをめざせ
Nature Methods
2010年3月15日
組織内の細胞はどれも同じようにみえるが、遺伝子の発現は細胞ごとに異なり、その不均一性が組織全体の機能に影響を与えている。細胞内のこうした分子発現パターンを明らかにする方法が、Nature Methods(電子版)で発表される。
遺伝子およびタンパク質の発現に関する細胞間の差が組織の発生および機能を主導している場合が多いが、細胞集団レベルの分析ではそのような一細胞の差を観察することができない。個々の細胞を分析するという手も考えられるが、単一の細胞からは分子分析用の材料が十分に得られないことが多いため、それは困難である。また、発現の変動が真の生物学的不均一性によるのか、それとも実験ノイズによるのかを明らかにすることも、困難な場合がある。
確率論的プロファイル解析という方法で、J Bruggeたちは、一細胞のプロファイル解析を行うための解決法を得た。細胞を1つだけ分離するのではなく、10細胞のプールを無作為に取り出した。10細胞であれば、遺伝子発現の分析に十分な材料が得られる。発現が不揃いな遺伝子は、各細胞で発現レベルが揃った遺伝子と比較して、プール内の発現量分布が広くなるため、細胞間で発現パターンが異なる遺伝子を同定することができる。研究チームは、三次元培養した乳房上皮細胞の分析で確率論的プロファイル解析の威力を実証し、酸化的ストレス応答など、細胞間で異なる複数の分子経路を同定した。そうした経路は、いったん同定されれば、健常組織および疾患組織の発生に影響する変動を分析することが可能となる。
doi:10.1038/nmeth.1442
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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