Research Press Release
爆撃で分かれた木星の月
Nature Geoscience
2010年1月25日
38億~41億年前の隕石による後期重爆撃期において、木星の大きな月であるカリストとガニメデへの衝突でもたらされたエネルギーの差は、2つの月の異なった特徴を説明できるとの報告が、Nature Geoscience(電子版)に寄せられている。この発見は、2つの月は大きさと組成が極めてよく似ているにもかかわらず、カリスト内部での氷と岩石の分離は不完全なのに、ガニメデがなぜ大きな岩石と金属の核をもっているかを説明している。
A BarrとR Canupは、惑星への衝突時における融解と核形成のモデルを開発した。彼らは、一連の衝突によって十分なエネルギーが解放されるならば、氷と岩石分離および核形成過程は自動的に完了するまで継続しうることを見いだした。ガニメデでは、このような自動継続する分離が起きたが、カリストでは起きなかった。これは、木製の重力場によってガニメデのほうがより大きな衝突エネルギーをもたらしたためである。
doi:10.1038/ngeo746
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
古生物学:南米の琥珀層に古代昆虫が「ひしめき合う」Communications Earth & Environment
-
気候変動:山火事の煙による年間死亡者数は増加すると予測されるNature
-
人工知能:DeepSeek-R1 AIモデルの背後にある科学Nature
-
医療科学:医療を導くAIツールNature
-
気候変動:温暖化によるサンゴ礁の緩衝機能の危機Nature
-
神経科学:繰り返される頭部外傷は若年アスリートの脳細胞を変化させるNature