Research Press Release
【進化】実験室での共食い
Nature Communications
2013年5月1日
実験室条件下でのショウジョウバエ幼虫の捕食性共食いを示す証拠が得られたことを報告する論文が、今週掲載される。通常は肉食種でないショウジョウバエに見られる共食い行動が、栄養不良の条件下での生き残りに寄与している可能性のあることが、この論文に示されている。
今回、Roshan Vijendravarmaたちは、混雑した実験室条件下で、ショウジョウバエの若齢幼虫に共食い行動が見られること、すなわち蛹化の準備に入っている高齢幼虫を定期的に攻撃し、食べていることを明らかにした。襲撃された犠牲者が発する匂いによって、もっと多くの襲撃者が襲撃現場へ誘引されるため、この共食いは集団行動になっている。また、Vijendravarmaたちは、共食いによって、幼虫の口器が可塑性をもつようになり、百世代にわたって栄養不良状態下に維持された個体群が進化して、共食い種としての効率を高めたことを示す証拠も示している。
doi:10.1038/ncomms2744
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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