Research Press Release
【植物科学】環境変化がもたらす植物の侵入
Nature Communications
2013年3月20日
気候変動を原因とする環境変動の増加によって、植物の侵入のような生態系の変化が加速する可能性を明らかにされた。この研究では、環境の変化を原因とする将来的な生物多様性の変化が、かなり過小評価されていた可能性が示唆されている。 環境の変化には、平均的状態の変化と環境変動の変化の2つの形態がある。今後、環境変動が増加し、とりわけ極端な気候事象が起こることが、複数のモデルで予測されている。今回、O Bossdorfたちは、環境変動の増加が生態系の変化も加速させる可能性があるという考え方を示している。
Bossdorfたちは、世界的に最も侵入性の高い植物種の1つであるイタドリについて調べて、栄養素の変動が増加するとイタドリの侵入とその後の蔓延が促進されることを見いだした。侵入性の高いイタドリは、周期的な洪水によって擾乱と栄養素パルスが起こる河川沿いで優占度が非常に高く、大きな被害を生んでいる。極端な気候事象が増えると、こうした洪水の発生可能性が高まるため、気候変動の増加によって侵入性植物種のさらなる蔓延が促進されることが、Bossdorfたちの研究結果で強く示唆されている。
doi:10.1038/ncomms2632
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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