Research Press Release
肝臓がんの治療に腫瘍細胞を殺すウイルスが有望
Nature Medicine
2013年2月11日
JX-594ウイルスに、進行肝癌患者に感染して腫瘍細胞を殺す、用量依存的な治療効果があるとの報告が寄せられている。
JX-594はワクシニアウイルスを改変したもので、David Kimたちは、これを用いて第1相臨床試験(初めての投与量設定試験)を行い、このウイルスで抗腫瘍免疫応答を誘導できることを証明した。このウイルスを高用量投与した肝細胞がん(HCC)患者の平均生存期間は、低用量投与群が6.7か月であるのに比べ、14.1か月になることがわかった。
これらは新しいがんの治療方法として期待を抱かせる結果だが、プラセボ群を対象にしたもっと大規模な臨床試験で確認する必要があり、また、JX-594の防御効果の機序を完全に解明するには、さらなる研究が必要だろう。
doi:10.1038/nm.3089
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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