Research Press Release
脳に優しい電極
Nature Materials
2012年11月12日
きわめて薄くて柔軟な神経信号計測用電極が開発されたことが、今週のNature Materials(オンライン版)に報告される。こうした電極は低侵襲ツールとして、神経科学の研究や、脳で制御できる人工器官などの新しい臨床応用に利用できるであろう。
脳研究における主要課題は、標的神経細胞群からの電気信号を長期にわたって記録することである。ところが、この目的で用いられている一般的な微小電極は、堅くてサイズが大きめであり、埋め込み時や装着時に周囲の組織に損傷を与える可能性がある。このたび、Takashi Kozai、Daryl Kipke、Nick Kotovおよび共同研究者らは、タンパク質耐性コーティングで保護された柔軟なカーボンファイバーで生体適合性複合電極を作製した。ファイバー端部には、導電性ポリマーの記録パッドが設けられている。この電極は、既存のシリコンプローブ電極の10分の1の薄さであり、脳組織に適合しやすい。これを用いることにより、ラットの神経信号を数週間にわたって記録できる。
doi:10.1038/nmat3468
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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