Research Press Release
【有機化学】カルシウムチャネル拮抗剤によるパーキンソン病の治療可能性
Nature Communications
2012年10月24日
パーキンソン病に関与するとされる特定のタイプのイオンチャネルタンパク質に選択的に作用する分子が見つかった。この化合物が、パーキンソン病治療薬の新たな候補につながるかもしれない。研究の詳細を報告する論文は、今週、Nature Communicationsに掲載される。
脳内には、さまざまなカルシウムチャネルのサブタイプが存在し、ある特定のサブユニットを含むカルシウムチャネルが、パーキンソン病において何らかの役割を果たすと考えられている。したがって、この特定のカルシウムチャネルのサブタイプを標的とする薬物が、パーキンソン病の治療に有益である可能性がある。薬物の選択性は、副作用を抑制しつつ、効果的に症状を緩和するために重要なことが知られている。今回、R Silvermanたちは、化合物ライブラリーのスクリーニングを行い、パーキンソン病に関与するとされるカルシウムチャネルに結合する化合物を同定した。そして、その化合物を修飾して、この特定のカルシウムチャネルのサブタイプに対する強力な選択的阻害剤を作製した。
今後の研究の展開によっては、パーキンソン病の治療法研究に新たな道が開かれる可能性がある。
doi:10.1038/ncomms2149
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
神経科学:AIはブレイン・コンピューター・インターフェースの制御能力を大幅に向上させるNature Machine Intelligence
-
物理学:新たな光ファイバーが通信技術を向上させるかもしれないNature Photonics
-
進化:人間の二足歩行への二つの小さなステップNature
-
社会科学:フランス革命期の「大恐怖」における噂の拡散を可視化Nature
-
古生物学:最古のアンキロサウルスに見られる極端な装甲Nature
-
環境科学:コンゴ民主共和国を侵食する都市部のガリーNature